タリバンの完全独立宣言から一夜が明けた。早速タリバンは新体制の調整に入っている。加えて、カブール国際空港の管理について、トルコ政府と調整しているという報道もある。
日本政府としては、とにかく残された日本人関係者およびこれまで協力してくれたアフガニスタン人、そして同じく他の国でまだ国外退避を希望する者がいるならば、その人たちのことも含めて、すみやかに国外退避ができるようにタリバンとのしかるべき交渉や他の国との緊密な情報共有も忘れてはならない。
唯一日本人のジャーナリストの安井浩美さんの手記が発表されているが、「女性の人権を踏みにじり恐怖政治を敷いたタリバンを私は知っているが、以前とは違うようにも見える」とも。そして「私が愛するアフガニスタン。国際社会、そして日本は見捨てないで欲しい。」と訴えておられる。
CODEはぶどう農家の再生支援をしているが、同じ地域で唯一一校しかない「女子学校」の建設も支援した。建設と言っても、実は広いグランドというか荒野のような荒地に、欧州の国が校舎を建てた。しかし、イスラム法の教えで、「女子学校には、外から絶対に見えないように壁がいる。」と言われた。「えっ、こんなに広い土地に壁を作らなければならないの・・・・・?」と天を仰いだ。そのためには相当な資金がいるだろうなぁと頭の中で電卓が動くような感じがした。「なるほど、わかった。しかし、それならセメントコンクリートで覆うような壁よりも、木を密植して植えれば、景観もいいし、生態系にも影響を与えないのではないか?それでどうだろう。」と交渉したが、「ダメだ。少しでも中が見えたらダメなんだ!」と、ガンとして受け入れてくれなかった。日本では考えられないことだが、イスラム法の教えと言っても、ここまでして女性を守るというのも凄いことだとなぁと思った。
恐る恐る見積もりを提示して貰うと「230万円」という金額だった。2度目の天を仰ぐことになった。
CODEの支援のモットーには「支援する相手国の宗教や文化を尊重する」と掲げてある。「泣きたいほどつらいけど、やむを得ないか。この地域の人の仕事になり、少しでも生活支援につながるし……。」と、自分を慰めるしかない。
すでに広いグランドに、小さなテントを10張ほど支援した。そのときの子どもたちの笑顔が目に焼き付いていたので、これで安心して勉強ができると思うと、この学校は子どもたちにとっては、かけがえのないことだ!と。
「ヨシ!この庭で女子生徒たちにぶどうの苗を育てて貰おう。ここで苗を一年~二年育てれば、ぶどう農家に売れるではないか?」と女子生徒ととりあえず記念植樹をした。この地に次来た時には、見事に苗が育っているだろうと思い描きながら学校を後にしたが、頭のなかでは電卓が動き続けていた。
(CODE事務局:アフガニスタン担当 村井雅清)