ハイチ 増え続ける患者、減少する死者数 PAHO/WHOトップ 活動の増援を呼び掛ける

日付:2010年12月2日
情報元:Pan American Health Organization ;World Health Organization
ワシントンD.C  PAHO
ハイチではコレラ患者数が増え続けているが、コレラに罹る患者のうち死亡する者の割合は現在、減少していると今週発表された情報は伝えている。
10月下旬、コレラが流行りだした初めの数週間、亡くなる入院患者の割合は9パーセントと高いものだった。それがハイチ保健省の最新の報告では3.5パーセントに下がっている。
「向上しているのだよ。」全米保健機構/世界保健機関(以下PAHO/WHOと省略)の副次官Jon K. Andrus医師はこう語った。「依然、多くの人々が亡くなり、我々も多くの問題を抱えている。けれどハイチの医師たち、看護師たち、また地域のスタッフや各国の支援者たちの頑張りで多くの命が救われているのも現実なのだ。」
今週発表された情報によると10月下旬からコレラにかかって1800人以上が亡くなり、ハイチの全10県で少なくとも八万人が罹患している。しかし、Andrusと他の公衆衛生の専門家たちは発表された数は、事例報告の際の誤差のため実際のコレラ患者の数よりはるかに少なく見積もられていると考えている。
PAHO/WHOそれに米国疾病対策管理センター(CDC)が計画立案のため行う疫病モデリングでは初めの12ヶ月間でおよそ40万人の患者を、その半数ほどはコレラが流行る最初の三カ月に発生すると予想している。
Andrus医師はこうしたことから、取組みを拡大しなければと言う。「今やハイチにはコレラが蔓延し、現場はさらに患者が増える事を予想しておかなければならない状況なのだ。」
「今、ハイチでの一番の課題は今後数週間の対応を拡大することだ。特に、間もなくやってくる休暇シーズンには外部からの支援や補給諸々を集めるのが難しくなる。」
ハイチ保健省がPAHO/WHOや国連諸機関のサポートを受けて作成した支援拡大計画はコレラ治療センターを増設し、大衆教育を行い塩素錠剤や経口補水塩を支給することで家庭や地域レベルでのコレラ予防と治療を推進する取組みの拡大することを提案している。
この取組みだけでもさらに医師350人、看護師2000人、サポートスタッフ2200人がむこう三カ月、およそ三万人の地域医療従事者やボランティアスタッフへの訓練や追加の経口補水塩に浄水用錠剤の供給が必要となるだろう。Andrus医師は必要なものは進展し続ける状況次第で変わりうることを指摘していた。
その他に差し迫って必要なものとしては水分補給用点滴、抗生物質、塩素、遺体袋、個人用保護具、水袋や貯水タンク、コレラ用ベッド(訳者注:コレラ患者がトイレに行かず用を足せるように穴が空けられたベッド)にトイレ設置用建材などがある。
ハイチにおけるコレラによる影響は極めて深刻なもので、Andrus医師や他の専門家たちは大部分の人々が浄水や公衆衛生を簡単に手に入れられずにきたこと、これまでコレラという病気にさらされた経験が無く自然免疫を持ち合わせていないこと、効果的な治療が受けられる間に治療施設へ患者を連れていく事が困難なことが原因だと指摘している。
Andrus医師は「多くの患者が手遅れの状態で病院、診療所にやって来ていた。医療施設の数を増やし、人々に初期治療の必要性を教えた結果、死者の割合が減少してきたのだ。」と話した。「コレラが蔓延しているまっただ中では、最初に軟便に気づいたら経口補水塩を摂取し始めなければならないんだと知っている必要がある。そうすればもっと多くの命を救う事ができる。」
PAHO/WHOと国際社会はハイチの保健省が行う市民へのコレラ予防と処置の教育や、避難所に一般家庭、市場や学校、診療所、拘置所などの公衆の場の衛生状態改善への取り組みを支援してきた。こうした活動を拡大するため、PAHO/WHOは直ちに1000人の地域環境スタッフを採用することを提案した。
Andrus医師はまた、清潔な飲み水を確保する手段の拡大と廃棄物処理の改善が如何に重要であるかについても説いた。「PAHO/WHOはパートナーと共に水質の観測と水の確保手段の拡大のため活動しつづける。が、ハイチが資金調達し大規模な給水・下水処理施設を建設することは不可欠なことだ。」と言っていた。
文責:Sonia M.Mey Media/Press Knowledge Management and Communication PAHO/WHO
原文URL:ewliefweb.int
翻訳:M.S