月別アーカイブ: 2010年6月

ハイチ:「私たちは再び災害の危険にさらされています」

情報源:UNOCHA(国連人道問題調整事務所)
日付:2010年6月4日
ハイチにおける嵐のシーズンの始まりを告げる風雨が既に、1月の地震で家を失った人々の住む一時しのぎのシェルターに被害をもたらしている。支援団体は、さらに悪い事態が起こりうると警告している。
「防水シートはテントよりは持ちこたえますが、最良の防水シートや最良のテントでも、雨季、ハリケーンシーズンをしのぐのに適した場所にはなりません」と、シェルターを監督する諸機関グループのコミュニケーション・オフィサー、Timo Lüge氏がIRIN(国連人道問題調整事務所・統合地域情報ネットワーク)に語った。「多くのキャンプは雨が降るごとに水に浸かっており、住環境は悲惨です。」
家を失った約150万人がキャンプで暮らしている。
支援団体はできるだけ早く、よりしっかりした持ち運び可能な高床式住宅を建てようとしている。計画された12万戸のうち1873戸が建てられ、9365人が居住可能となったが、12万戸を完成するには約1年かかるとLüge氏は言う。
資金と資材は手元にあるが、土地所有権の問題とガレキの除去がプロセスを妨げている。「土地の確保、必要な資材の購入と輸送、建設の完了に何ヶ月もかかるでしょう」と彼は言う。
「7000戸以上の仮設住宅に使われる資材と併せて、シェルター・クラスター(シェルター関連を扱う組織横断のグループ)メンバーの最大の課題は、仮設住宅建設に利用可能な土地がないことである」とハイチのUNOCHAが5月24日に発表した。
一方、Lüge氏によると、援助機関は木材、くぎ、ロープ、その他資材を配布したり、既存のシェルターを補強・防水する方法についてのクレオール語のポスターなどで助言を広めたりしている。
国際的な援助団体であるOxfamが28ヶ所で行った調査で、「過剰に混雑している」ことと水はけの悪さが、洪水と病気のリスクを高めていることがわかった。OCHAの発表では、洗浄・洗濯用の水が十分になく、衛生面が危険にさらされているとのことである。下痢の発生ケースは低いが、水不足による皮膚病は頻繁に起こっている。
大惨事
アメリカ海洋大気局は大西洋海盆に、「活発もしくは極めて活発」なハリケーンシーズンの到来を予告した。OCHAは6月1日の声明で、「地震以降、これほど多くの人がこれほど脆弱な状態におかれているなかで、今年の深刻なハリケーンは壊滅的なものとなりうる」と発表した。ハイチの市民保護局は学校などの建物で、地域のハリケーン避難所となりうる場所を特定してきた。
首都ポルトープランスのMaïs-Gaté 2地区にあるCaremagaキャンプに妻と子どもと暮らすJean-Ferdinand Jean-Jacques氏は、初期の嵐による被害は大きなものだったと言う。「こうしている間にもほとんどのテントは水に浸かり、すっかり腐っていきます。」
Caremagaキャンプの委員会メンバーであるHarold Desaugustes氏がIRINに語った。「ちゃんとしたテントを持たない人々の一時的なシェルターは風雨で既に壊れてしまいました。嵐が来れば、また大惨事に見舞われます」
彼は、自分の家族も含めて多くの人が、プラスチックシートと柱でできた簡易のシェルターに暮らしているという。「ときどき夜中に風雨で骨組みが崩れます。」風でプラスチックシートが吹き飛ばされたため、最近2枚目を買ったという。
Desaugustes氏の世帯は16人で、6歳未満の子どもが5人いる。「テントを持っている他のキャンプの住人によく、子どもたちをそこで寝かせてくれないかと頼んでいます。2~3人をここへ、2~3人をあちらへ、というふうに。」
原文URL:reliefweb.int

ハイチ:IOMとCCCMクラスター、 50万人に登録番号を配布、緩和と緊急対応メカニズムを開始

日付:6月1日
情報源:IOM(国際移住機関)
今週時点で、キャンプ調整・管理(CCCM)クラスターはハイチ政府との連携で、ポルトープランス周辺の50万人以上の避難者を登録した。
これまで、12万5000世帯、54万人(1世帯平均4.3人に基づく)にあたる150ヶ所が登録された。登録された150ヶ所のうち51ヶ所はポルトープランス市外にあるが、そのうち25ヶ所はレオガン、15ヶ所はグラン・ゴアーブ、5ヶ所はプチ・ゴアーブ、6ヶ所はジャクメルである。登録プロセスは、IOMとCCCMクラスターをパートナーとしてハイチ政府が主導し、内務省、市民保護局(DCP)を通じて行われる。また、避難者へのサービスを提供する人道団体の支援で、CCCMのもとで行われる主要活動のひとつとなる。
登録データから集まるのは、簡単な人口統計学的な情報―登録者の53%は女性、47%が男性、36%が18歳未満で8%が5歳未満の子どもといったもの―から、帰還・移転の意図に至るまで様々だ。データは、人道機関にリアルタイムな情報を提供する、CCCMの避難者追跡マトリクスに記録される。
「登録データはこれまで、食糧以外のアイテムや、新しいキャンプへの自発的移転や、家族への個別サポートなど、一連の支援を提供するための多くの立場で利用されてきました。キャンプ管理者やその他のサービス提供者は、キャンプでの活動に必要な登録データに、定期的にアクセスすることができます。『登録して一緒にハイチを復活させよう』をスローガンに、受益者は私たちのチームと登録しています。」IOMの登録関係部署を率いるVlatko Avramovski氏は言う。
登録の優先地区は、キャンプ管理団体とIOMのキャンプ管理オペレーション(CMO)部署によって特定されている。CMOは最近その活動を拡大し、キャンプごとのモバイルチームを作り、ポルトープランスの7つの自治体にある避難者コミュニティの調査に焦点を当てている。
登録プロセスの第一段階は、ポルトープランス地域の大きな地区での全避難者の登録も含め、2010年6月末までに完了すると見込まれている。
その他の小規模な地区や、ホストファミリーと暮らしている人々の登録は、2010年11月までの完了する予定である。登録の更新情報はCCCMウェブサイトで見ることができる。
IOMは、効率的に避難者のコミュニティを雇用したり、移転問題やニーズ、人道的対応に関する情報を広めるために、様々なコミュニケーションツールを採用している。例えばMINUSTAH(国連ハイチ安定化ミッション)の連続ドラマや、連載漫画や、支援スタッフを60人以上に拡大したコミュニティ動員チームを通してメッセージを伝えている。
「私たちの役割は、利用可能なベストな情報を避難している方々に伝えることであり、彼らのニーズや希望について定期的なフィードバックを求めることです」コミュニティ動員担当のJunior Aly氏は言う。
さらに、CCCMはハリケーン・シーズンへの準備にも取り組んでいる。現場での緩和の取り組み、既存のシェルターを強化するための情報を提供する支援キャンペーン、緊急対応を行うジョイント・タスク・フォースへの参加を通じて行う。
一方で、キャンプ軽減タスクフォースは、UNOCHA(国連人道問題調整事務所)が代表であり、シェルター、水・衛生、CCCM、初期の復興クラスター、その他の関連する団体が参加し、最も危険なキャンプを特定し、軽減活動を行う。
IOMのサイト評価・計画局の代表、Shaun Scales氏によると、洪水によって長期的に住むことができなくなるような場所のキャンプを「深刻な危険」と特定する。これは、差し迫った洪水の危険に加え、慢性的に水が淀んでおり、健康問題のリスクがあることを示している。
現地評価では現在、一日に6つのキャンプを見ており、(調査のためにポルトープランス地域で現在特定されている130地区のうち)これまで56ヶ所の12万1000人が調査されたが、うち6万2000人が危険にさらされており、5万4000人が深刻な危険にあるとされた。
集められた情報はパートナーと共有し、細々とした骨の折れる作業から、大規模なサイト軽減問題まで、ニーズを把握するために使われる。サイト評価に関する情報はCCCMウェブサイトで閲覧可能である。
IOMは、洪水予防活動の一環として水路清掃も指揮している。対策本部では最終的にレオガンとジャクメルの現場にも評価を拡大することを目指している。
IOMはまた、MINUSTAHとUNOCHAとともに、差し迫るハリケーン・シーズンへの準備として重大問題対応チームを結成し、即応チームの一部として、エンジニア2人に24時間スタンバイしてもらう手配を行った。「このチームは重大な出来事に対応する『眼』を現場に置こうとしている」とScales氏は言う。
IOMの事務局長William Lacy Swingは明日、ドミニカ共和国のPunta Canaで開かれるハイチの将来に関するサミットに参加する予定である。このサミットはドミニカ共和国政府が招集し、再建活動開始の先頭に立ち、ハイチと国際社会との恒久的な連帯関係を築こうとしている。
Jared Bloch
IOM Haiti
原文URL:reliefweb.int