月別アーカイブ: 2006年7月

インタビュー:融通利かぬ官僚主義、津波の警告遅れる-インドネシア

【Achmad Sukarsono、ロイター】KUTA、インドネシア
17日にジャワ島の南岸で600人以上の死者を出した津波で、インドネシアの融通の利かない
官僚制が警告の遅れをもたらしたと月曜日、大臣がロイターに語った。研究・技術大臣
Kusmayanto Kadiman氏はこう言う。インド洋で強い地震が起きた17分後、幹部らは津波の
可能性を告げる警告を受けていたにもかかわらず、沿岸の危険地域に対して行動を起こさな
かった。
「パンガンダラン(Pangandaran)(今回の津波の)件で得た最大の教訓は、我々が官僚機構に
依存しすぎているということである」とKadiman氏は、リゾート地バリ島で行われた地域津波会議
でのインタビューで語った。
「州知事や市長に情報を送るけれども、この手の役人は24時間警戒体制というわけではない
のだ。」
岸から180キロ(112マイル)沖でマグニチュード7.7の地震が発生した後、ジャワ島南岸のコミュ
ニティに危険を告げるサイレンは鳴らなかった。波が岸に到達する寸前も、子どもたちはまだパ
ンガンダランの浜で戯れていた。そこはもっとも大きな被害の出た地域だ。
津波対策のメッセージを押し勧めるため、ユドヨノ大統領が来週、役人らを召集すると
Kadiman氏は言う。現在、インド洋沿岸諸国は日本の気象庁とハワイの太平洋津波警報セン
ター(the Pacific Tsunami Warning Center)の津波警告を当てにしがちである。
7月17日、ジャカルタの役人たちは両者から警告を受けた。それが地方の役所に伝達されたの
は、津波が岸を襲うたった数分前のことだった。浜にいる人たちに危険を知らせるには、遅すぎ
た。インドネシアは、地震や津波の情報を警察を通して伝える計画をしているとKadiman氏は言う。
20分以内に津波がインドネシアの岸に到達する恐れがあるとき、役人はおおまかなデータに
基づいて行動を起こさなければならないと彼は言う。
「これからは、もし海で、震源の浅いマグニチュード6.3以上の地震が起きたら、我々は直ちに
警報を出します」と彼は言い、今後3ヶ月以内に数百の携帯電話の電波塔にサイレンが取り
付けられると付け加えた。
インドネシアで最も人口密度の高いジャワ島の浜にはサイレンがなく、さらに、既存の二つの
津波警報用ブイは数ヶ月前に壊れて、修理中だった。この二つのブイは、スマトラ島の沖に置
かれることになっている。2004年12月26日にインド洋沿岸諸国で23万人―その多くはイン
ドネシア人だった―の命を奪った地震と津波の震源に近いところだ。
インドネシアは1万7,000以上の島々からなり、深海用のセンサーをつけたブイが少なくとも22、
デジタル記録付きの潮位計測器が120、信頼性の高い津波探査のための地震計が160必要
である。
包括的で近代的な警報システムは役に立つ。しかし、それも国民の意識が欠けていたら使い物
にならないのだとKadiman氏は言った。
「一番大切なのは備えです。もし大地の揺れを感じたら、海面の水位が下がりだしたなら、
とにかく走って近くにいる人を連れて逃げなさい。その人が言うことを聞かないのなら、引き
ずってでも連れていくのです。」
情報源:ロイター
原文URL: reliefweb.int
*著作権は情報源に帰属します。

地震後のパキスタン山岳北部の子ども達

■ムザファラバード2006.7.24
幼いラブバちゃんが栄養失調でテントの診療所に運ばれてきたときの体重は8だった。
彼女の体重は生後10ヶ月の赤ん坊ほどだったが、彼女の実際の年齢は10歳である。
ラブバちゃんの事例は南アジア地震の4ヶ月後の2月にユニセフの支援によってムザ
ファラバードに設立された診療所の人々に衝撃を与えた。“彼女はこれまで見た中で最も
ひどい例です。彼女は深刻な慢性栄養失調だけでなく、肺結核も患っています” と診療
所にカシミールの小児科から勤務するリアズ医師は話した。この診療所はこの地区では
初めての栄養失調の子ども達専用の施設である。ユニセフは診療所のスタッフへの賃
金を支払い、栄養価の高いビスケットやミルクなどの食料も提供している。リアズ医師達
の治療の結果、ラブバちゃんの状態は快方へ向かっている。彼女は他の5人の兄弟に
比べて幸運であった。彼らは同様の状況下で10歳になる前に死亡しているのだ。
■健康への初の取り組み
7万3千人の死者と3百万人の人々の家を奪ったマグニチュード7.6の大地震前の、パキ
スタンが統治するカシミール地区における慢性的な栄養失調者の割合は38%であった。
急性の栄養失調者の割合は5~10%であった。 “伝染病の蔓延、(健康に対する)知識
の欠如、食料の不足、これらが(栄養失調を)引き起こす原因である。この状況は地震
により人々の移動によって悪化しているのである。”とリアズ医師は話す。この地震は
パキスタンに長く存在している遠隔地や北東の山岳地方の健康問題について新しい扉
を開いた。長期的なユニセフの復興計画の一部として、基本的な薬や衛生面について村
人達に教えることで、彼らは村から離れた場所でも家族の健康状態が医者に見せる必
要があるかどうかを確認することができるようになっているのである。数百人のユニセフ
協力員の医療班のメンバーは既に現地入りし、該当家族の健康をチェックし、また彼らに
衛生面や病気、また特に深刻な栄養失調について改善できるよう教育している。
■急がれる子ども達への治療
子ども達の栄養失調が慢性化する前に手を打つべく、ユニセフは母乳を促進する盛大
なキャンペーンを行っており、また地方に50の補遺食料センターの建設を計画している。
“これらの作戦は手付かずだった部分にメスを入れた計画です。私たちはなんとかして、
子ども達の栄養失調が軽度なものから重度なものになるのを止めたいのです。”とユニ
セフの栄養プロジェクトの幹部ジョーン・エグブタ医師は言った。リアズ医師も同感であ
った。“必要なのは援助が必要な子ども達を見つけることである。でなければ事態は悪
化するであろう。”と。
*著作権は情報源に帰属します。
情報源: United Nations Children’s Fund (UNICEF)
原文URL: reliefweb.int