四川大地震救援ニュースNo.147/CODE未来基金ニュースNo55

「四川フィールドワークを実施しました!」

CODE未来基金ニュースNo55「四川フィールドワークを実施しました!」 (四川大地震救援ニュースNo.147/四川大地震10周年レポートNo.10) 2018年度後期のCODE未来基金のフィールドワークで神戸大学の学生4名が、四川大地震(2008年)の被災地を訪れました。今回の企画者の西本楓さんは、「食による村おこし」をテーマにし、医食同源の息づく中国で、被災者に料理を学び、少数民族の食文化に触れました。また、観光復興の現状を知り、自分の目で現場に立ち、自分の頭で考え、現地に寄り添うという事を学びました。複数回に分けて参加した学生たちの感想文をお届けします。(吉椿雅道) 四川フィールドワークを終えて    神戸大学国際文化学部3年 田口春香  長かったようで短かった、四川のフィールドワークプログラム「食×村おこし」が終了しました。充実した9日間を過ごすことができ、大変満足な気持ちです。  私が事前に立てていたテーマは、「人々がどのような気持ちで復興に向かい、どのように生活しているのかを知ること」それから、「自分たちが村の活性化のちいさなきっかけになること」でした。主に自分の興味分野である食、震災、村おこし、異文化というキーワードを大切にしたいと考えていました。それを踏まえて、この9日間に感じたことや、終えてみて今思うことをつづっていきたいと思います。  まず驚いたことは、震災の復興に関する政策が日本と大きく違っていたことです。中国では、観光復興を大きく打ち出していると聞きました。震災が起こって大変な状態になっている街をそのまま残して観光地にしていたり、農村を観光地化していたり。日本でも、後世に震災の教訓を残すためいくつか保存が議論されている場所がありますが、観光復興を目的としている場所はありません。四川では、震災後、被災された方々が避難所で商売を始めるなどのたくましい国民性が見られたとのことです。たくましい人々が多いため、日本で重視されている傾聴ボランティアも存在しないと聞き、とても驚きました。とはいっても、お話を聞いていくと、誰もが観光復興に前向きというわけではないようでした。観光地として再整備される代わりに、震災前とは全く違う生活を余儀なくされる方々もたくさんいるのです。一度崩れた生活を違った形で取り戻すのは自分が思っている以上に大変なことなのだと感じました。  そんな違いに驚く中で、日本と共通しているなと思ったところがあります。それは、震災をきっかけにしてそれぞれの地域が震災前から抱えている問題がより顕著に表れるようになるということです。出稼ぎが多いことや、伝統的な生活の維持など、一見すると震災とは関係がないように感じる問題も、震災の影響を受けています。それは日本においても同じで、高齢化や地域コミュニティの問題などが挙げられると思います。「震災支援はいつまで行うのか」「復興はいつ達成されるのか」よく議論されることのように思いますが、私はその問いはあまり意味のないことと考えます。震災がきっかけで生活の見直しをせざるを得なくなっただけで、我々が地域や人に向き合う上で考えるべきは、「その地域に住む人々がより生きやすくなるにはどうしたらいいか」だと思うからです。あらゆる問題も、生活に関わっている以上繋がっています。私は、震災をあくまで一つのきっかけとして、包括的にその地域を見て、そこに住む人々がより幸せに生きられるお手伝いがしたいなと思いました。  私がこのフィールドワークに行って最もよかったなと感じたのは、中国という国への偏見をなくすことができたことです。行く前は正直、あまり良いイメージを抱いてはいませんでした。日本よりも遅れているだとか、マナーが良くなさそうだとか、日本人を快く受け入れてはくれなさそう、だとか。しかし実際に行ってみると、想像を覆されることばかりでした。日本が学ぶべき技術もシステムもたくさんあったし、出会う人すべてがいい笑顔で話しかけてくれました。 言葉が通じなくても、同じ食事を囲むことで、一緒に踊ることで、笑顔を交わすことで心を通じ合わせることができました。とても嬉しくて、泣きそうになることが何度もありました。失礼なことを考えていた自分を恥じました。国も、性別も、年齢も関係なく、偏見なく関係を築けるような人間になりたいと強く思いました。 そう思わせてくれた中国で出会った人々、この機会をくれたCODE未来基金に関わる皆さん、今回一緒に行ってくれた頼もしい3人の仲間、たくさんのアドバイスをくれた吉椿さん、すべての方に感謝しています。ありがとうございました。

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