四川大地震救援ニュースNo.145/四川大地震10周年レポートNo.8

2008年の四川大地震の支援プロジェクトとして2016年度から実施しているこの事業は、災害多発国である日本と中国で、新たな災害に備えた連携とNGOを担う若者の発掘をめざしたものです。

この事業で中国や日本の被災地を訪れた若者たちは15名にのぼり、今も未来基金などを通じてCODEにかかわってくれています。今年度は、神戸大学、関西学院大学、神戸女子大学、愛媛大学の学生など6名と10年目の四川の被災地を訪れました。

10年目の被災地での学びや出会い、現状を複数回に分けて報告いたします。


【四川研修の感想 岸本くるみ】

今回は2泊3日の短い参加でしたが、防災減災教育館の見学と小学校での防災教育授業に同行しました。日本の防災教育の紹介として、損保協会さんが作られた幼児向けの防災ゲーム「ぼうさいダック」を持っていきました。

雅安の小学校では、お茶、お習字の授業を見学後、防災クラブの生徒さんたちが劇を披露してくれました。「西遊記」のストーリーに防災の要素が取り入れられ、歌あり、踊りあり。

中国語のセリフはわかりませんでしたが、悟空の冒険のなかで、机の下で頭をまもる(地震に対する)動作や、口を押えてほふく前進をする(火事に対する)動作が紹介されていました。とても楽しいこの劇は、川劇と呼ばれる中国四川省の伝統芸能を模しているものだそうです。

今年の1月に「ぼうさい甲子園」の発表会で、高知県の高知市立南海中学校の生徒さんによる楽しい劇「防災にわか」を拝見しました。

ぼうさい甲子園は学校や地域での防災教育や防災活動に対して賞を贈るもので、毎年全国からたくさんの応募が寄せられています。南海中学校の劇は、「にわか狂言」と呼ばれる高知県の伝統芸能(無形民俗文化財)の喜劇を模して防災の話題で演じたものです。雅安と高知とは離れていますが、子どもたちの姿が重なりました。

劇は楽しく地域に根付いたもので、さらに学んだことを周りの人に伝えたい気持ちが感じられます。

防災教育館にて

自信と熱意を持って発表してくれた雅安の子どもたち。その前に見学した防災減災教育館でも同じものを感じました。4Dシアターでの災害追体験、災害と防災に関する情報がたくさん詰まった展示。子どもたちのコーナーはテーマパークのように楽しい仕掛けに溢れた作りで、館内スタッフの方々は地域イベントや学校でもレクチャーを行っているそうです。

お会いした副館長さんは「日本の豊富な経験から意見が欲しい」と、こちらのお話を熱心に聞いてくださいました。

勢いある中国の方々と自分を比べると立ち止まりそうでしたが、防災に向き合っている方々との出会いがありがたく思え、急に日本の防災ゲームを楽しく紹介したいという気持ちになりました。

ゲームなら作った人がいて、立っている場所が平らなら整備した人がいます。当たり前のことですが、ものには始まりがあり、伝えてきた人がいて、今ここにあります。

雅安の小学校にて

外国に行くと「日本」という単語に含まれている土地や文化、イメージと自分自身に違和感を覚えることがありました。

今回、日本は経験が豊富と言われた時も同じです。それを自分がつくったものではないのに、と思うのです。しかし考えてみれば、一から自分で作れたものなんてありません。これまで生きてきた方々の積み重ねの上で何かをつくったり、行動したりしています。まずそこに、立っています。

今回訪問した場所やお会いした方々は、CODEさんが活動を積み重ねて来たものがあってのものだと、今回の旅で強く感じました。

これまでの積み重ねの(目の前にいない)人の知恵や想いがすでに存在していると思うと、緊張もありながら心強い気がしました。特別な意識をしなくても、今、目の前のことをていねいにすることは、これまでを生かすことなのだと気づきました。自然とやっていることが、尊敬の念や感謝になっているのかもしれません。

改めて、今回の研修にご一緒できたことを感謝しております。


4月1日13時~16時@こうべまちづくり会館で、今回四川を訪れたメンバーも報告をさせていただきます。ぜひお越しください!
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