2008年の四川大地震の支援プロジェクトとして2016年度から実施しているこの事業は、災害多発国である日本と中国で、新たな災害に備えた連携とNGOを担う若者の発掘をめざしたものです。この事業で中国や日本の被災地を訪れた若者たちは15名にのぼり、今も未来基金などを通じてCODEにかかわってくれています。今年度は、神戸大学、関西学院大学、神戸女子大学、愛媛大学の学生など6名と10年目の四川の被災地を訪れました。
10年目の被災地での学びや出会い、現状を複数回に分けて報告いたします。
【四川フィールドワークの感想 関西学院大学1年 折原佳奈】
今回、自分の中でのテーマとして「自分の視野を広げる」「将来の夢の具体化」をもって挑みました。
いつも海外に行くと、日本と違う文化や習慣に触れることで日本で生活している自分の常識を変えられます。たくさんのことを見たり聞いたりすることによって、自分の知らないことを知れて、いろんな可能性を見つけることができます。
今回も素直にいろいろなことを見て聞いて吸収し、将来の道を明確化させようと考えていました。
四川省防災減災教育館にて
私がここ一週間で一番心に焼き付いていることは、「小さなことに寄り添えること」というキーワードです。
将来は漠然とまちづくりをしたいと考えていて、そのために防災減災の部分から学べることがあれば、と思っていました。そのためにその町のコミュニティ形成は必要不可欠であると考えていました。
具体的に、10年前の四川大地震で被災して、何が必要か感じたか、どう立て直していったか、将来はどういう暮らしがしたいと考えているかなど具体的なお話を聞こうと臨みました。私が光明村の人に「将来どのような暮らしがしていきたいですか?」と聞くと、光明村の人は「もっと裕福な暮らしがしたい」とおっしゃていました。そのために観光復興も行っているともおしゃっていました。
光明村にて
しかし、観光復興で町に観光客を町に入れると治安が悪くなったりデメリットも出てくるのではないか、と質問すると吉椿さんは「村のひとたちは観光復興をしてからの問題が想像できない、今はただ安心してできる生活をするので必死だから。先の未来を想定するのも必要だが、それ以前にそこの住民たちが一番求めている近い未来を提示すること、同じ目線で立って寄り添うことが必要である」と教えてくれました。その時に自分の今までの考え方が最善ではないということに初めて気づきました。自分がそこの町の人たちのためにと考えていたことは本当にその人たちの一番必要なことではないのではと思いました。
正直、お話を聞いていても現地の人たちと自分との間には見えない壁が存在していて、また地震の現場を見ても直接心に入ってこないというか、物事を冷静に客観的にとらえてしまい、なんの知識もなく被害者でもないわたしは傍観者でしかないと情けなくもなりました。
それと同時に吉椿さんと光明村の人、また市川さんとの間には10年かけて形成してきた絆のようなものを感じました。それを目の当たりにして、表現は間違っているかもしれませんが羨ましいと感じました。どれだけその町を住みやすくしようと外部から考えて研究して取り組んでも、その町の中に住む人たち以上にいい町を作ることは難しいことなのだと気づきました。その町に自分の身を置いて肌で感じること、また町の人に寄り添い、話を聞くことで見え方は変わってくるのだと知りました。
光明村にて
もっとその町の人たちがどうやったら暮らしやすくなるかを外部から考えるのではなく、自分がその町に入り込むことでその町の人と接し、町の人たちが主体となってその町を活性化できるような手助けの仕方を考えるという考えに変わりました。
そのためにはまず、そこの人たちと向き合って関係性を作る、人と人とのつながりみたいなものを大切にしようと思いました。またこれから先、自分は何がしたいのか、何をして生きていたいのか、もっともっと自分とも向き合っていこうと思える機会でした。
4月1日13時~16時@こうべまちづくり会館で、今回四川を訪れたメンバーも報告をさせていただきます。ぜひお越しください!
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