「四川省スタディツアー 感想」神戸大学学生震災救援隊 大西佑季
私は阪神・淡路大震災をきっかけに設立された団体でサークル活動をしており、個人的に災害とどう向き合うかを考える機会があった。その時、災害が起こるまでの防災、減災について、また災害派遣についてなどは個人として考えることはできたが、復興に関しては一人では考えがまとまらず、悩んでいた。そんな折、2日目の四川大学での講義のなかで、「復興は3年まで、それ以降は発展、振興である」という四川大地震の際の中国の復興に対する考え方を聞き、はっとした。ずっと阪神・淡路大震災について、神戸の復興についてばかり考えていたが、日本国内でも地域によって復興の様子や考え方が違うこと、それ以上に世界の災害、またその復興について目を向けるということに思い至っていなかったということに気付けたように思う。
また、3日目、5日目の被災地視察では震災当時の崩れたそのままで保存された学校や街を見学した。私は地震が起こってすぐの現場には行ったことがなく、もう人が住んでおらず、保存されているとはいえ被災から時間がたった場所といっても写真や映像以外であれだけ生々しく被害の跡が残っている様子をみるのははじめてで、衝撃的だった。また、日本では避難所とされている学校が崩れていたり、崩れた建物の工法を説明してもらい、自分の生活の中で防災、減災についてさらに考えていかないと改めて考えさせられたと思う。
私事になるが、正直に言えば、初めての海外、しかも一週間ということで不安があり、打診をいただいたときはとても迷ってしまった。そのうえで、今回のスタディーツアーに参加する際、「思い切って踏み出してみる」ということを意識していた。これまでは新しいことに挑戦するとき、どんなに興味があってもいつも二の足を踏んでしまい、あきらめてしまうことが多かった。しかし、1年間ボランティアを通して被災された方、また他の被災地ボランティアの方と関わる中で、現地、現場にしかない出会いや経験があり、その一つ一つが自分にとって重要なもので、思うようになった。実際、四川省での出会いは私の意識を大きく変えてくれるものだった。踏み出してみる、ということに関して、このスタディーツアーのように学生が災害について学ぶ機会があること、そのような場を提供してくださる「未来基金」は重要だと思う。特に、4日目の光明村の住民の方との出会いが印象にのこっている。
初めて会った異国人である私たちにとても優しく好意的に接してくださり、被災した時のことや立ち直るまでの過程、村の様子、様々なことを話してくださった。出稼ぎから一団に会うために帰ってきたという方もいらっしゃり、それだけ被災してから立ち直るまでにCODEの方やボランティアの方が気付き上げてきたつながりがあるのだと感じることができた。また、これまで“中国”という大きなくくりの中で、先入観をもってしか人、物事を見られていなかったと気付くことができたと思う。