「日中NGO・ボランティア 研修交流事業に参加して」
神戸市外国語大学4年 小坂めぐみ
私はCODEの事務所でボランティアをさせていただいておりますが、実際に被災地を訪れた経験は少なく、経験を積み、知識を増やし、それを今後の活動にいかしたいという思いでこの事業に参加しました。被災地を訪れ、現地の専門家、住民、ボランティアなど様々な立場の方々からお話を聞いた一週間はとても充実したものでした。感じたこと、学んだことは数え切れないほどありますが、特に印象に残ったことを二点挙げたいと思います。
一点目は、CODEが支援している光明村を訪れたことです。四川に向かう前から説明を受けていたこともあり、その場所に実際に足を踏み入れ村の方々が歓迎してくださったときはとても感動しました。CODEが建設した老年活動センターも自分の目で見ることができ、門の上部に「CODE」の文
字が刻まれているのを見て嬉しくなりました。村の女性のお話を聞いたとき「震災直後は絶望していて何もする気が起きなかったけれど、日本人ボランティアたちが瓦礫を片付けてくれているのを見て、自分もがんばろうと思った」とおっしゃっており、当時のボランティアの肉体労働とも言える行動が、村の方々の精神面も支援す ることに繋がっていたことを実感しました。こうした支援を通じて築かれた絆があるからこそ、私たちのような初対面の日本人にも親切に接してくれたのだと思い、被災地での人とのつながりの大切さを学びました。また、前述の女性はこの経験から「他の場所で地震が起こったら助けてあげたいと思うようになった」とのことで、「困ったときはお互い様」の精神が広がっていくのを目の当たりにし、心があたたかくなりました。
二点目は、日本と中国では震災後の復興の方法や考え方において異なる点があり、そこに国民性が現れているということです。中国人の国民性として「過去を振り返らずに前を向く」という傾向があるそうです。震災記念館を訪れた際、当時の様子よりは復興状況を伝えるコーナーに力を入れているように感じ、四川大地震においても同様の姿勢で対応していたことが伺えました。また旧北川県の地震遺跡では、街全体を震災当時のまま残しており、崩れた建物の中には遺体も眠っているとのことで、日本ではこうした発想はあまりないのでは、と思いました。ただ、全てを「国民性」でまとめてしまってはならないとも感じました。最後のミーティングでもこの話題が出ましたが、国民性がその国の人たち全ての考え方を示す訳ではありません。四川大地震の被災者の中でも5月12日が近づくと悲しくなる人もいますし、地震遺跡に関しても賛否両論があると聞きました。また、日本と中国、どちらの復興計画が良い・悪いということもありません。違うことに何らかの判断を下すのではなく、どうして違うのか、その背景を理解することの方が大切だということを、吉椿さんのお話をはじめ、今回の研修の体験から学ぶことができました。これは、海外災害支援の場面だけに留まらず、国際理解全体のフィールドにおいて心がけるべきことだと感じています。
7年前に四川大地震が起こったとき、私はテレビやインターネットのニュースでそのことを知りましたが、どこか遠い国のことのように感じ、正直なところあまり関心を払っていませんでした。しかし、CODEでボランティアを始めてから震災について学ぶ機会を頂き、今回の研修で現地に行ったことにより、更に関心が高くなりました。また支援している光明村の方々の顔を見ることができ、ボランティアということはただの作業ではなく、その先の人に繋がっているということを意識することがでるようになりました。
最後に、私がCODEでボランティアを始めたときは、まさか自分が海外の被災地に行く機会を頂けるとは思ってもおらず、また貯金もあまりなかったので金銭面でも厳しいと考えていました。しかし、四川地震支援への寄付・CODE未来基金により、今回、こうして実際に四川に行くことができ、そこで日本では決して得られることのない、様々な経験・学びを得ることができました。貴重な機会を頂いたことへの感謝の気持ちを忘れず、研修で学んだことをこれから還元していけるよう努力したいと思います。