CODEは四川大地震救援プロジェクトの一環として、「日中NGOボランティア研修交流」という事業を実施しています。この事業を通して若者が中国の被災地で学び、CODEがNGOの将来を担う若者とともに育ち合うことをめざしています。また日中のNGOの連携を深め、互いに支えあう関係を築いていきます。この事業は昨年末スタートした「CODE未来基金」がサポートをしており、今年3月には第1回研修交流が行われ6名の若者が四川大地震の被災地を訪れ、多くのことを学びました。
6月13日からは第2回日中NGOボランティア研修交流として中国から3名のNGOスタッフが日本を訪れます。13日(土)、14日(日)、20日(土)に神戸で行う研修には一般の方のご参加も受け付けておりますのでぜひご参加ください。
第1回研修に参加した交流では学生の感想をご紹介します。
「四川研修の感想」 関西学院大学3年 成安有希
四川から帰ってきて1週間、私は四川で感じたこととなかなか向き合えないでいる。それは、楽しかったことよりも、苦しかったこと、悩んだことばかり思い返されるからだ。四川では、日本との文化の違い(交通や風景など)を楽しんだり、食、買い物、参加者との交流など、楽しいと感じることも多かった。光明村では、吉椿さんが以前から交流をしている方々、お医者さんや謝さん、劉さんなどと話す機会もあった。お医者さんのお孫さん(6歳)とは、言葉が通じないながらも一緒に遊んだ。吉椿さんからのお土産の水鉄砲がお気に入りでずっと遊んでいたが、水がなくなったときはジェスチャーや仕草でお互いがそれを理解し水を汲みに行ったり、昼食時は私が食べ終わるまで私の後ろでずっと待っていた。時々「遊ぼうよ!」と私の手を引っ張って外を指差していた。私のどの行動が面白くて、何がしたいのか、言葉が通じなくても分かった。中国語が喋れたらなあ、と思う。だけど、喋れないから通じ合えないということはない、と思った。帰りの車中では劉さんの娘さんと筆談や翻訳機を使ってみんなで楽しく話すことが出来た。通訳してもらうこともあったが、車中は本当に盛り上がっていた。1週間を通し、本当にたくさんの方々と交流の機会があった。四川大学の学生、ボランティアの市川さん、日本語勉強中のウーさん、観光復興した村や鎮のお土産屋のおばちゃんやおじちゃん。人と話すことが好きな私にとって、人と出会う、交流する、こんなに私にとって楽しいことはないなあと感じた。
しかし、反対に苦しいことも多かった。旧北川県の地震遺跡は私に恐怖を覚えさせた。コンクリートがばらばらに崩れてしまった家、1.2階部分が土石流によって見えなくなった家、家の半分がなくなった家。何人の人の生活がここにあったのか考えるだけで怖かった。見ていられなかったし、写真も撮れなかった。今あの遺跡を思い返すだけで苦しい。それほど私にとってはショックな風景だった。しかし、逃げたくなかった。これは決して作り物ではなく、事実なんだと受け入れたかった。事実と向き合いたかった。私はきっとここから学ばなければならない。帰ってきてから参加者と写真を共有しても、地震遺跡の写真はまだ見れないでいる。だけど私はずっと考えている、私にできることは何か。
私は今回の四川研修で、「自分」と向き合うきっかけを多く与えてもらった。特に吉椿さんの話は私に多くのものを残してくれた。「被災者1人ひとりと関わることで、自分自身が問われる」という吉椿さんの言葉には、自分もそのような姿勢で野田村の方々1人ひとりと関わっていかなければならないと思わせてくれた。また、私が四川で様々なことに悩んでいるときには「成安さんは成安さんにしかできないことがあるはずだから誰かの真似とかしなくていい」と声をかけてくれた。“自分にしかできないこと”“自分らしさ”を見つけていきたいと思った。
1週間、楽しかったり、苦しかったり、悩んだり、笑ったり、泣いたりと様々なことがあった。だから「自分」というものをさらに考えることが出来た。この企画に参加していなければ、今こんな風に「自分」のことを考えることがなかった、四川の人々と交流することがなかったと思うと、今頃自分はどうなっていたのだろうかと考えるほどである。また、この就職活動中という時期も「自分」をさらに考えるきっかけとなり、本当に良かったと思う。この企画に私を誘ってくださった吉椿さんには本当に感謝してもしきれないほどです。ありがとうございました。そして、CODEに集まった寄付金やCODE未来基金には、私を含め、若者6名に四川に行く機会を与えてくださったことに感謝しています。この機会を無駄にせず、“自分にしかできないこと”を見つけ、実行していきたいと思います。