【四川省訪問レポート(学生編)】No.1

去る2月2日、CODE10周年シンポジウムの一環として、また、次世代の市民活動の担い手が育つ場づくりとして、若者による「ポスターセッション」を行いました。海外の災害に対して自分たちはどのような救援プロジェクトを行うか、ポスターに描いてプレゼンテーションしていただくものです。
学生を中心とする9チームに参加いただき、自らの経験や関心を踏まえた思いのこもった発表に、会場はとても盛り上がりました。
会場の方々による投票の結果、見事最優秀賞を取られた「KOBE足湯隊」チームの後藤早由里さん(神戸大学4年生)に、CODEのプロジェクト現場を訪問していただくこととなりました。3月14日から19日の日程で、CODEスタッフ吉椿とともに中国・四川省の被災地を訪れています。さっそく現地の後藤さんから報告をいただきましたのでご紹介します。
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四川省訪問レポート 3月15日 
(1)新北川県
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北川県は、四川大地震によって大きな被害を受け、人口3万人の内の2万人が亡くなり、さらに地震の影響で土砂崩れや土石流の被害が重なり、政府より復興は困難と判断を受け、別の場所に新しく北川県を作ることに
なったと聞いた。今日は、その新しく作られた”新北川県”を見に行った。
“新北川県”は、とてつもなく大きかった。元々、菜の花畑だったところに、将来は7万人が住むと計画され作られた町ということだった。町の中には、マンション、お店、学校、スタジアム、博物館などが、広大な土地に一つ一つどっしりがっしりと建っていた。しかし、その建物の存在感に比べて人の気配はあまり感じられなかった。商店の集まっている辺りに行くと、それなりに人が歩いていたが、少しめかし込んだ格好の人たちが多く、どうやら観光に来ている人のようだった。
これだけ大きな建物がいくつも発災から数年で建ったということには驚いた。日本とは違い、土地はすべて政府の持ち物であり、とにかく政府の力がとっても強力なことでこのようなスピードで成し遂げられたということだった。被災して家がなくなった人たちにとっては、すぐに住む家を得ることができるのはとても安心できることだと思うので、その点でスピーディーなことは大事なことだと思った。一方で、元々この場所で菜の花を育てて生計を立てていた人は今どんな思いでマンションに暮らしているのだろう?北川県で被災した人たちは、この場所で以前のような仕事ができているのだろうか?マンションから商店まで歩いたら遠いだろうなぁ。いろいろ大きすぎやしないだろうか?と思うことはいろいろとあった。
東日本大震災では、日本の制度や行政の仕組みなどもあって、なかなか将来の住居が決まらずにいる人がたくさんいる。その人たちのことを思うと、早く住居が決まることはとても大事なことだと思う。でも、今回この”新北川県”を見て、早ければいいというものでもないように思った。その場所でこれから生きていく人たちが、どう生きていきたいと思っているのか、どんな生活をしていきたいのかを大事に考えていかなければ、その場所に生き続けていく人たちの生活が、気持ちが、続かないような気がした。
神戸大学 保健学科 
4回 後藤早由里