四川省地震4周年レポート No.2

CODE海外災害援助市民センターです。
2008年5月に起きた四川省地震のレポートをお送りします。
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四川省地震4周年レポート No.2
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●対口支援の課題1 「スピード」
2008年5月12日に発生した四川大地震の救援にあたって中央政府は、「対口支援」という独自のシステムを用いて支援を行った。沿岸部などの経済発展を遂げた19の省市と被災地の18の市県がペアを組み、各省市の財政予算の1%を使い、3年間の被災地の支援を行うというものだ。日本でも昨年の東日本大震災後、広域災害の支援として注目され、「1対1支援」、「ペアリング支援」、「マンツーマン支援」、「国内版ODA」など様々な呼ばれ方をしている。
四川大地震の被災地でこの対口支援を使って当初3年の復興事業を2年に短縮し、短期間の復興を遂げた事は世界からも注目をあびた。2012年2月末には事業の約99%を完了させたと「復興宣言」を四川省政府は発表した。
実は、この対口支援は、鄧小平の唱えた「先富論」によって生まれたと言える。「先富起来!」(富める者から豊かになり、貧しきものを助けよ。)という改革開放政策がもたらした沿岸部と西部の格差を埋める為に考えられた「西部大開発」の一環である。1970年代後半からチベット自治区や新疆ウイグル自治区でもインフラ整備や教育などの支援が行われている。
また、1993年より16年の歳月をかけて長江流域に建設された世界最大級の三峡ダムも21省市の対口支援によって行われた。四川大地震後の青海省地震(2010年4月 玉樹地震)でも北京市などの対口支援で復興事業が現在も行われている。
四川大地震後の復興過程の中でこの対口支援は非常に効果を発揮したがその陰で様々な問題も生んでいる。2008年の9月頃より始まった住宅再建の際には、「対口支援」の重視するスピードによって被災者の多くは、「早く建てないと政府の補助金がもらえないんだ。」と住宅再建をじっくり考える暇もなく、再建を急がされた。それによって被災地の至る所に耐震性を十分に考慮されないままの住宅が現れた。
また、広大な被災地で同時に住宅再建が行われた事により、レンガ、鉄筋などの建築資材が約3倍に高騰した。震災前の農村住宅では、平均5~6万元(65万~78万円)だったものが、震災後には13万~15万元(169万~195万円)に跳ね上がった。
支援側の省市の幹部の中には「いくらいい計画でもスピード感がなくては意味がない」と語る人も出てくるほど対口支援では競争原理が働いた。
遅々として進まない東日本大震災の復興過程と比較すると中国政府の決断力の早さが多くの被災者に安心感を与えた事は評価すべきである。だが、対口支援による復興がスピードを重視し過ぎた為に様々な問題が四川の被災地で起きている事はあまり語られる事はない。
(吉椿雅道)