2008年5月12日に起きた中国・四川省の地震から3年が過ぎました。
四川省にいる吉椿のレポートです。
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四川大地震3周年レポート3
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2011年5月12日。四川大地震から3年。
政府の発表では、被災地では約220万戸の住宅の再建を終え、復興計画の95%のプロジェクトが完了したという。
北川県光明村でもほとんどの住民は住宅再建を終えた。だが、村はどこか閑散としている。村の医師であるPさんに訊くと「今は村民の半分もいないだろうなあ。」という。今年9月の住宅ローン返済期限を目前に村民の多くは出稼ぎに出ている。遠く新疆ウイグル自治区まで行っている人々もいる。
本来8人家族のPさんは、今は、孫のWくん(2歳半)とHくん(10歳)と奥さんの4人のみで暮らしている。Wくんのお父さんは青海省の建設現場へ、お母さんは江油市の農家楽(※)へと出稼ぎに行っていて、お母さんは月に3日の休みの時のみしか帰って来られない。Pさんの診療所は国の資金で立派に再建されたが、閑古鳥が鳴いている。「皆、出稼ぎに出てて、人がいないから診察に来る人も少なくて、収入もあんまりないよ。」とこぼす。
Pさんは震災前、他の家と同じように豚を飼っていた。子豚を売ったり、春節などの祭りの時にさばいて食する。だが、退耕還林(畑を森林に戻すという国のプロジェクト)によって土地を収用され、「豚の飼料のトウモロコシを作る土地がないから、今は豚も飼えないないよ。」と言う。そんなPさんの息子、娘夫婦は遠くで一生懸命働いている。そうやって被災者の人々は3年経った今も家族皆で支え合って生きている。
(※農家楽…中国で行われている、農村の自然や文化を都市部の人々に楽しんでもらうグリーンツーリズム)