引き続き、Yさんレポートをお届けします。
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綿竹市の中でも被害の大きかった遵道鎮棚花村。この春、ここには観光客の姿があった。非常に美しい田園風景の広がる広済から遵道、九龍、土門などでは毎年3月には「梨の花祭り」が開かれる。その中でも棚花村では震災前からこの花祭りを目当てに多くの観光客が訪れ、伝統工芸である年画や蜀繍(蜀の国の刺繍)が人気であった。
震災後初めての春、この周辺では梨の白やピンクの梨の花と壱面の黄色い菜の花が咲き乱れた。その花に誘われるかのように観光客も徐々に集まり始めた。棚花村では再建された家屋の壁には年画が描かれてあり非常に雰囲気がある。そして村の中では以前のように「農家楽」を営む人々も現れ始め、訪れた観光客のおもてなしに大賑わいであった。
昨年の地震直後、ボランティアで知り合ったSさん(22歳)はこの村の刺繍の先生でもある。Sさんとは、昨年6月初めてこの村を訪れた時からの縁で、ボランティアの会議でも僕の中国語のサポートをしてくれたり、一緒に北川県光明村にボランティアに行ったり、全壊した彼女の家のガレキを片づけたりと被災者であるにもかかわらず共に汗を流してきた。いつも「お兄ちゃん」と呼んでくれる可愛い妹でもある。彼女は、観光客に刺繍を買ってもらうために再建した自宅の一角に刺繍工房兼展示室を作り、自分で作った作品を観光客に売って生計を立てている。この日、お母さんは隣の農家楽のお手伝いに駆り出されて食事の準備に大忙しだった。訪れた観光客は、中庭で食事をしたり、マージャン、トランプに興じていた。お茶をすすりながらきっと震災の話でもしているのだろう。。。
この日お母さんが忙しそうに働いている姿が生き生きしていてどこか嬉しそうだった。