しばらくニュースが滞っていましたが、9月8日にYさんと一緒に成都に戻ったTさんが近況を寄せてくれましたので、紹介します。彼は、ニュース53で紹介した地震直後に現地に飛んだ学生ですが、6月中旬に日本に戻ってきて以来、CODE事務局に出入りし、この度Yさんのサポート役として四川に同行しています。
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3ヶ月ぶりに訪れた村。
田んぼの広がる緑の風景に仮設住宅の青と白が浮かんできました。建設中だった仮設住宅ではすでに入居が始まっていて、村のあちこちに、新しく建てるための赤いレンガが山積みされていました。
村の様子は変わっていましたが、変わらずあったのは村の人たちの温かい笑顔でした。
「あんた前に来たことあるでしょ?」
ほとんど話したことがなかったおばちゃんからそう言われました。子供たちは姓名までばっちり覚えてくれていました。
しかし、何人かの子供は村の外の学校に通うことになり、いませんでした。 小学校は歩いて40~50分ぐらいのところにありますが、中学校からは近くにないからです。その小学校も地震で壊れ、今再建が進められており、授業は仮設で行われています。
また、村の働き盛りの男性は、今は家を建てるために帰ってきている人も多いようですが、普段はあまり見かけません。これは、四川省は出稼ぎ大省と言われるぐらい出稼ぎが多く、この村も例にもれず、多くの若い男性は都市部に働きに出ているからです。
だから、この村には小学生以下の子供と中高年~高齢者が多くいます。仲良くなったおばちゃんが13年間一人暮らしなのもそのためです。そうした背景がある上に、地震で家を失ってしまったので、ますます出稼ぎの必要性に迫られています。
瓦礫の片付けも終わり始めた今、とりわけ彼らの頭を悩ませているのは「家の再建」だと思われます。
聞くところによると、比較的安い家を建てるのに7~8万元(約120万円)かかるそうです。政府からは復興計画が出されていて、それに従うと約2万元の補助がもらえます。そして、出稼ぎで稼げるお金は一日に約50元だそうです。家を建てるお金を貯めるためには何年働かないといけないでしょうか?
また、元の家のローンを払い終えていなければ、二重ローンとなってしまいます。
そして、この復興計画ですが、政府は再建を急いでおり、ある人の話では12月初旬までに新しい家を建て終えないと、約2万元の補助が出ないらしいのです。
村の人たちは急いでお金を工面し、家を建て始めているところもあります。しかし、その家が前と同じ構造で造られてしまうと、また同じ悲劇を繰り返すことになるのです。
今後、復興計画と折り合いをつけながら、どう支援できるかを探っていかなければなりません。
いろいろ話をしてくれたおじちゃんが、何度も「関心を持ってくれてありがとう」と言っていたのが心に残っています。