中国四川省地震救援ニュース 49

ニュース48で、Yさんのすばらしいレポートが紹介されました。13年前の阪神・淡路
大震災後もこの彼女と同じように、かけがえのないきっかけを得て、その後の人生
に影響を受けた人たちは多かったことを思い出します。「ボランティアは社会を変え
る」だけではなく、ひとりひとりの人生観をも変える力があるようです。あの解散させ
られた中国の環境NGOの壁に書かれていた3行の文字は、ひとりひとりの心のなか
に奥深く生きていることを確信します。
ひとりひとりがとても大切で、
ひとりひとりがその能力を発揮し、
ひとりひとりが変化をもたらせるように
こんなすばらしい人と人のつながりが生まれている一方で以下に紹介する「ボラン
ティア殴打事件」は、全く頭に来る話です。
(以下はCODE翻訳ボランティアによるものです。)
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≪ネットで噂が先行、四川省衛生庁幹部によるボランティア殴打事件≫
 最近、「四川省衛生庁幹部がボランティアを殴った」とネット上で噂になった。2日
前に四川省衛生庁長は「衛生庁の幹部馬歩鋼がボランティアを殴ったというのはデ
マだ。」と発表した。しかしその夜、衛生庁はホームページで、この件に関し、幹部
の張建新を停職としたことを発表し、その謝罪書を掲載した。
≪ネットで暴露された幹部職員≫
 この「四川省衛生部幹部がボランティアを殴った」とした書き込みによると、5月20
日午前11時ごろ、衛生庁の職員が江油市長鋼総医院に到着したとき、医院ではボ
ランティアが消毒作業をしていた。噴霧機が故障して、あるボランティアは消毒液を
バケツから柄杓でかけていた。この作業中に検査の車がやってきて、柄杓でかけた
消毒液がちょうどあいていた窓から車内にはいってしまった。そこでこの恐ろしい場
面が出現した。その職員は車を降りるとボランティアの襟首をつかみ、一発殴りなが
ら罵倒した。ミネラルウォーターで消毒液を洗い流したあと、車に乗って走り去り、検
査も行っていかなかった。  この殴られたボランティアは17歳。色白でやせている。
医院で検査をうけると鼓膜が充血し水がでていた。検査中にこの男性は泣いて言っ
た。「私のしたことは間違っていました。けれど、あの人も人を殴ったらいけないで
しょう。」ある書き込みではこの職員は衛生庁の処長の馬歩鋼だという。これに対
し、四川省衛生庁の庁長は2日前の記者会見上、「この発言は全くのデマである。
災害発生後、職員・幹部は日夜最前線で奮戦しており、馬歩鋼は当時江油にはお
らず、青川で救援活動をしていた。」と述べた。
≪殴った幹部はすでに停職≫
 衛生庁のスポークスマンは27日、「殴ったのは衛生庁退職者管理処服処長の張
建新であり、馬歩鋼ではない。張は深刻に反省しており、謝罪書を書いてホーム
ページ上に公開し、意見を求めている。」スポークスマンは、ぶん川大地震以来、多
くのボランティアを含む社会各界からの助けで四川の被災者は「一方有難、八方支
援」の友愛精神を切々と感じている。この地震の救援活動にあって、当庁職員が人
を殴るなどという分別のない行為をしたことを深く遺憾に思う、と述べ、衛生庁では
張建新を停職にしたことを発表した。
 スポークスマンによると、27日午後4時ごろ、張建新は江油長鋼総医院で、殴られ
たボランティアの林さんと会い、謝罪をし慰問の品を贈った。林さんはこの謝罪を受
け入れ、「ネット上でもこの事件を正確に伝え心をひとつにして地震の救援活動に力
を出してほしい」と述べた。
≪冤罪の馬歩鋼「たいへん悲しい」≫
 27日午後、青川県の救援最前線にいた衛生庁農村管理処処長の馬歩鋼は記者
の電話取材に応じ、ここ数日名も知らない人たちから罵倒され非常なストレスを感じ
ていたが、ようやく事情がわかった。しかし、この事件はたいへん悲しい。馬処長
は、25日午後電話をうけ、「なぜボランティアを気ままに殴るのか」と質問された。当
時はなんのことかさっぱりわからなかったが、その後この殴打事件の話を聞いて納
得がいった。でもその人がどうして自分の連絡先を知ったのかはわからない。彼は
その日、ついでの折に上司にこの電話のことを報告した。それから数日、罵る電話
とショートメールが携帯にひっきりなしに来たが、携帯の電源を切るわけにもいか
ず、これらの煩わしい電話を聞くしかなかった。記者会見でこの殴打事件の真実が
発表されたあとは、謝罪のメールがたくさんきた。
                           (5月28日 南方都市報)