成都のゲストハウスでYさんと出会い、一緒に活動したボランティア
のOさんが感想文を寄せてくれましたので、ご紹介します。
四川地震 ボランティアに参加して(O.R. 5月22日 22時15分)
四川の地震は発生翌日の朝刊で確認しました。「ミャンマーに続い
てひどいことが起きたな。何かできることはないかな」。それくらいの感
想を持ちましたが、すぐにページをめくりました。その時の私は大学も
卒業して、今流行のフリーター、一歩間違えればニートと呼ばれるよう
な生活をしていました。少しのバイト、つまみ程度の勉強。希望や夢を
持っていなかったわけではありませんが、そのために一生懸命精進し
ているとも言い難い生活。そんな矢先での今回の地震は、私の怠惰な
生活も少し揺り動かすことになりました。
その日の夜、同居している友人と話している時に、ふと思いつきまし
た。「中国行ってみようかな。」その友人はまだ学生ですが、私と同様
に進路について悩んでいました。二人とも世界やNGO、国際協力、ア
ジアなどという分野には興味がありました。しかし具体的に何をすれば
いいのかわからない状況でした。そんな中で「行ってみよう」と言っても
仕方がないのかなと考えたりもしましたが、思いついたことをそのまま
友人に伝えてみました。友人の第一声は「よし、一緒にいこか」。即答
でした。
意志が決まれば人間動くもので、すぐに家を飛び出して航空券を見
たり、情報を集めたりしました。友人は言いました。「何もできないかも
しれないけど、何かはできるかもしれない」。これが二人の動機です。
全くもって暇人の動機です。全くもって素人の発想です。でも二人に
とっては十分な動機でした。
その後知り合いのNGOと連絡をとり、そのまま成都で合流することが
できました。合流できたのは本当に幸運なことで、それから一週間弱
という短い期間でしたが、とても有意義な時間を過ごすことができまし
た。
ヒューマンシールド神戸のYSさん、CODEのYMさん、この二人にはと
てもお世話になりました。正体不明の私達とも快く接してくださり、しか
もとてもたのしくておもしろい方々でした。一方で、現場での手際よい
作業や被災者との円滑なコミュニケーション、帰還後のデスクワークの
集中力、そして使命感。これらには本当に目を見張るものがありまし
た。ハードな作業中に心配で一声かけても、これは仕事だからと一言
で流すことがありました。しかしみなさんの積極性が明らかにそれを仕
事のみにさせていませんでした。この一歩踏み込んだ姿勢がNGOの
特色ではないかと思いました。
他方私といえば、やはり何もできませんでした。調査に付いていって
もだた人の話をメモするだけ。救助作業に付いていっても内容をメモす
るだけ。遺体を目の前にして悲しむ親族の姿を見ても遠くから見ている
だけ。想像したよりもはるかに何もできませんでした。思いつきで日本
で買った軍手30双もまだきれいに残っています。ちょっと勉強した中国
語もやはりちょっとだったな、ということがわかっただけのものでした。
しかし、短期間でしたがYSさんの勢いある姿勢やYMさんのNGOへ
の熱い想いから学べたこともあります。それは出発の時の動機であっ
たことです。つまり「何もできないかもしれないけど、何かはできるかも
しれない」、ということを自信をもって言えることができるようになったと
いうことです。今私には何の技術もコネもカネもありません。でも必ず
自分にも何かできることはあるという強い信念をもって行動していくこと
が大切だと、今回ボランティアに参加して感じました。
これから四川での経験をどのように生かし、四川とどのように関わっ
ていくかはまだ未定です。しかしYMさんのように緻密でありながらも情
熱的に、YSさんのようにおもしろ楽しくも人情深く、私も活動していきた
いです。
ってゆうかこのおっさん(お兄さん)二人、かっこええっすよ。ほんま
に。
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月別アーカイブ: 2008年5月
中国四川省大地震救援ニュース 19
中国現地マスコミが報じている仮設住宅についての情報です。仮設住宅について
の計画が発表されたようですが、その建設戸数の多さは中国の大きさと今回の地震
の被害の大きさを物語っていると感じました。
<CODE翻訳ボランティアさんからの情報を紹介します>
--中国建設部 3ヶ月で100万戸の仮設住宅建設計画
建設部は全国19の省・市に対し、四川地震被災地に仮設住宅を建設するよう目標
を提示した。
・各8万戸…北京市、上海市、天津市、広東省、江蘇省
・各6万戸…せっ江省、山東省、河北省、河南省、湖北省
・各4万戸…重慶市、安徽省、福建省、湖南省、江西省、山西省、遼寧省
・各1万戸…陝西省、雲南省
合計100万戸400万人の仮設住宅の問題を解決するとしている。
第1期25万戸は6月30日までに完成(アバ州2万戸、綿陽市7万戸、広元市2万戸、
徳陽市7万戸、成都市6万戸、雅安市1万戸)
第2期37万戸は7月20日までに完成
第3期38万戸は8月10日までに完成
現在北京、広東、天津など10省市の派遣チームが被災地に入り建設を開始してい
る。
現在100名の建設専門家が被災地に赴き、場所の選定作業をしている。1戸の標
準の広さは約20平方メートル。戸数に応じて次の施設を設ける。50戸にひとつの供
水場所、トイレ、ごみ収集所。1000戸にひとつの小学校、診療所、商店。2000戸
にひとつの中学校。 (22日11時27分 四川在線-華西都市報)
山西省は都江堰市、祟州市、膨州市に8月10日までに4万戸の仮設住宅を建設す
る。800の集中供水所、800の公衆トイレ、800のごみ収集所、40校の小学校、40か
所の診療所、40か所の食料品店、20校の中学校も合わせて建設する。
関係者によると、住宅は軽鋼結合方式で耐震要求に見合っており、各戸は約20平
米、照明と液化ガス等の基本設備を整える。
(22日11時28分 中国新聞網)
23日、住宅と都市農村建設部は「地震被災地仮設住宅建設技術規則(試行)」を
発布した。
そのなかで、仮設住宅は集中して建設し、規模は少なくとも50戸以上とする。4戸か
ら10戸ひとつの建物のなかに並べ、各住宅の間は4~5メートルあける(消防通道の
ため)。トイレは、住宅との間に一定の距離をあけ風下に設置する。50戸にひとつ
防火設備を備える、とした。
(23日15時27分 新華網)
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中国四川省大地震救援ニュース 18
昨日の朝日新聞夕刊に「仮設650棟に入居始まる」との記事が出てい
て、被災地のごく一部とはいえ、こんなに早く(地震発生から12日目)?と
驚きましたが、Yさんからもレポートが届きましたのでお知らせします。
————
今日、都江堰に建設されている仮設に行ってきました。53棟(1棟に9~
10戸)、約1500人入居予定で、トイレ、シャワー室、大食堂、売店、医務室
などが、付設されています。共同スペースは今のところ見つかりませんでし
た。まだ建設中なのでなんとも言えませんが、高齢者などもうすでに入居し
ている人も少なくはありません。部屋は、プラスティックボードの壁に土間
の6畳ぐらいで何もありません。ベットが2~3つのみです。その他、洗面
器、コップ、石鹸、歯磨きセット、ティッシュなども配られています。
————
中国現地マスコミが報じている住宅問題についての情報<CODE翻訳ボラ
ンティアさんからの情報を紹介します>
--テントが不足
20日中国民政部の記者会見。
現在500万人の被災者が帰る家がない。緊急に必要なのはテントだ。
家のない人は第一に、親戚や友人を頼り避難する。第2に政府の公共施設
や公共場所にテントを建てる。28万枚のテントを設置したが、まだ不足。民
政部はすでに70万枚のテントを購入済み、現在工場では3交代で緊急に
増産中し現地に輸送している。
住居の次は食事や飲料水、必要な生活用品の保証をしなければならな
いが、まだまだ再建は研究課題が山積している。
(20日21時58分 新華網)
20日午後四川省政府の記者会見。
現在、300万のテントが不足していて、寄付を募っている。1か月以内に
は被災者が安全で経済的に使用できる住居(テントのことと思われます)を
提供したい。
(21日13時3分 成都晩報)
--住宅再建時の土地の適・不適について
20日中国地震局震災応急救援司
現在被災地で家屋の安全検定作業を行っており、その結果と関係資料を
持って住宅再建後の防災対策の材料としたい。住宅が倒壊する理由とし
て2つの原因がある。ひとつは土地が軟弱で建築に適さない場合、ふたつ
めは住宅の質に問題がある場合。住宅再建には建設前に地震に対する安
全評価を行う必要があり、安全な土地を被災者に提供しなければならな
い。地震の活断層部分や谷川に沿った地盤が緩い地域などは住宅建設に
適さない。
(21日6時43分 新京報)
--北京市が住宅再建の支援
20日、北京建工集団の最初13人が四川の被災地に向け出発した。彼ら
は住宅再建先遣隊で、冬になる前に1.5万戸の仮設住宅を建設する予
定。まずはじめに綿陽市に建設する予定。
20日、北京市が保有する6000戸分の材料(彩鋼板)を綿陽に向けて発
送した。北京市建設委員会はすでに後方応急機構を立ち上げ、「総合協調
調度チーム」「生産計画チーム」「運輸調度チーム」「第一線建設協調チー
ム」「人的資源保障チーム」などを組織する方案を決めた。
(21日8時21分 人民網)
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中国四川省大地震救援ニュース 17
発生から10日余りが経ち、復興へ向けた動きなども報道され始めました。これま
での国内の災害でもそうであったように、緊急期の支援だけでなく復興において
も、住民の声から見えてくるものは大きいと感じます。
Yさんの現場レポート(5/22)です。
唐代の詩人、李白の生まれ育った故郷、江油。この街も大きな被害を受けた。綿
陽から省道205号線を北へと向かう。市街地に近づくにつれ地震の傷跡が大きく
なってくる。 「41万元(約600万円)で去年買ったばかりなのに。。。」と肩を落とし
て語るのは、九嶺鎮に住む龍偉鳳さん(35歳)。旦那さんの李林強さん(36)たち家
族3世代、8人が同居していた。幸い家族に亡くなった人はいなかったが、もろく崩
れ落ちた2階建てマイホームは、96年に建てられたものだが、昨年購入したばかり
だったが故にその落胆は大きい。今後のことに触れたら奥さんの龍さんは、今にも
泣き出しそうになった。
またすぐ近くに住む女性、黄秀泉さん(41)は家が倒壊したのでテントで寝てい
て、昨夜の雨で濡れて大変だったと。「日本人はみんな関心をもっていますよ」と言
うとそこにいた日本人ボランティア、通訳など全員に握手をしていた。やり場のない
憤りでずっと胸をつめている被災者たち。誰かに話すことで人はいやされることもあ
る。
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中国四川省大地震救援ニュース 16
少しずつ少数民族方々の被災実態が日本の新聞などでも紹介されていま
す。例えば、イスラム教の回族は、大避難所のいる漢族とは食事や埋葬方法
などの習慣が異なるために悩んでいるという内容も。
こういう事態の時だけに、マンツーマン対応は難しいかも知れませんが、可能
な限り工夫をし、努力して欲しいものです。頭から出来ないと決めるつけるので
はなく、「出来るかも知れない」という可能性を見いだすことが大事ではないか
と痛感します。
今朝の読売新聞朝刊で、小さな記事ですがこんなものがありました。「講義
停止呼びかけ インド北部ダラムサラのチベット亡命政府は21日、世界各地の
在外チベット人向け声明を発表し、中国の四川大地震の犠牲者に弔意を表す
ため、3月の中国チベット自治区などでの暴動発生以来世界各地で続いている
対中抗議行動を一時停止し、被災者支援活動を始めるよう呼びかけた。 」(イ
ンドニューデリーからの記事)というものです。双方で、地震支援を最優先し、こ
ういう動きがでてくればいいのになぁと願っています。
<CODE翻訳ボランティアさんからの情報を紹介します。>
各地で救援活動を展開している人民解放軍の活躍を伝える「解放軍報」の記
事です。山上のチャン族チベット族の村の被害状況が断片的ですが、記載され
ていました。
18日、20名あまりの村民が廃墟から食物を探し出して前線指揮部に届け、
ぶん川の救助現場の第一線で奮戦する兵隊を慰問した。彼らはぶん川県城か
ら20キロ離れた海抜3000メートルのチャン族の村、禹碑?村から来ており、それ
ぞれの家から持ち出した干し肉や白菜、干し菜とさくらんぼを背負い3時間かけ
て指揮部に到着した。ある村民の手にはビニール袋に入れた20個の玉子も
あった。彼女は壊れないようにずっと捧げるように持って下山してきた。「倒れ
た家の中から探してきたもので、泉で洗って清潔ですから安心して食べてくだ
さい」。指揮部ではこの日から毎日このような感動的な光景が見られるように
なった。
平武県スーアール(さんずいに四・耳)・チベット族村は海抜4000メートルの高
山上にある。地震でここの家屋は大部分が倒壊した。300名あまりの村民は、
食料も水も薬もなく5日間を過ごしてきた。10名あまりの負傷者が生命の危機
にあった。17日8時、80名の兵が薬品と食料を背負いスーアール村に向かっ
た。地滑りや土石流のあとを越えて120キロを32時間かけ、18日16時30分
スーアール村に到着しすぐに救援活動を開始した。
傾きが50度を超える山道を兵は老人や子どもを背負い担架を支え3時間かけ
て16名の重傷者と300名の村民を安全な地域に移動させた。 (21日6時23分
解放軍報)
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中国四川省大地震救援ニュース 15
Yさんの現場レポート(5/17)続きです。
北川県の被災地はまるでゴーストタウンだ。その他の被災地のよう
に路上にテントを張って寝ている人はほとんどいない。そんな場所すら
ない。北川の街の」西側の山は地滑りを起こし、そこから土地ごと動い
て下から突き上げられるよう町を飲み込んだ、それが7階程の瓦礫の
山を作り出したんだと地元の人は言っていた。ビルが根こそぎ倒され
ているのを見ていると、怪獣が町を蹴散らかすテレビを見ているような
錯覚に襲われる。瓦礫の中から引き出され、身内に発見されない遺体
は、町の到る所に放置されたままになっている。
<img src="http://shisensyo.up.seesaa.net/image/RIMG0220-s-thumbnail2.JPG" alt="RIMG0220-s.JPG" width="200" height="133" border="0"
hspace="5"
この連日の暑さから腐敗が始まっているせいであちこちから異臭が
ただよう。中にはトリがむしばむ姿さえ見受けられる。瓦礫の山の奥に
は幼稚園があったらしく多くの子供の遺体が寝かされ木の枝で覆い隠
されていた。その前でただひたすら泣き崩れる女性。元、家があった
場所に向って「ママー、ママー」と叫び続ける女性。瓦礫の中で細い棒
でひたすら掘り続け、孫を探すおじいちゃん。僕たちもその場に座り込
んでしまい、涙が止まらなかった。被災地では今でも瓦礫の下に多く
の方が眠っている。そしてその場を離れようとしない人がいる。
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中国四川省大地震救援ニュース 14
都江堰の仮設についての続報です。
<CODE翻訳ボランティアによるものです。>
本紙記者が都江堰市地震救災指揮部にきいたところによると、現在都江堰の
市街地は被災者を集中的に受け入れる作業を始めている。
市政協(議会)主席によると、現在は救助作業から被災者集中受け入れの段
階に移行している。市政府はその場所を広い天府大道に決め、臨時集中設置場
所としている。
17日午後からすでに天府大道は片側を通行止めにして、路上に4000人が住
めるテントを設置している。安達路にも臨時テントを設置した。
本日(19日)より、幸福鎮、灌口鎮の一部の被災者をこの2か所に移動させ、
住居、食事と医療を政府が提供する。都江堰市はのちに3年から5年の期限付き
で仮設住宅を建設し、被災者を入居させる予定だ。
そのほかに、15日より都江堰市建設関係部署の組織が全市の被災建物で安
全等級検定を実施しており、結果が出たら、危険のない家屋に被災者を戻らせる
予定だ。
(19日6時3分 新京報)
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中国四川省大地震救援ニュース 13
先日の土曜日に以前CODEスタッフであったSさんがボランティアに来てくれました。
彼女はなんと、スリランカの帰りに香港から「土曜日に手伝いに行きます」とメールを
送ってくれました。これだけの大規模災害が二つ重なるということは過去44回の救援
活動においては、1999年の「トルコマルマラ海地震」「台湾9.21地震」の時以来です。
事務局もパニック状態で「ミニ災害」だが、翻訳ボランティアさんたちもはじめ、また暑
い中街頭募金などをして支援して下さっているみなさま、また陰ながらいろいろ配慮し
て下さるマスコミの方などに支えられて日々奮闘しています。感謝!!
その香港経由で帰国した彼女はCODEに在職しているときから、災害救援現場には
馴れているのですが、香港の空港で中国新聞3紙を買って来られました。さすがに地
元紙でしょうか、悲惨な写真が少なくありません。
丁度17日に神戸で「新潟中越及び中越沖地震と能登半島地震の1年後の現状」を
語るシンポジウムがあったのですが、中国から来ている留学生が、(能登で)立派な
仏壇を見て、「亡くなった方とこうしてまた新しい住まいに一緒にいることが信じられな
い!」と感想を漏らしたそうです。「なるほど、だからこんな目を覆いたくなるような写真
でも見ることができるんや!?」と納得しました。
Yさんの現地レポート(5/17)です。
この四川地震の最大の被災地とも言われる北川県。綿陽市街地からの道には、途
中2~3mの岩がゴロゴロと転がり、道を塞いでいる。4輪の車からバイクタクシーに
乗り換え、15分ほど走る。県の入り口からは歩くしかなかった。北川の街はその先に
あった。一番最初に目に入ったのが、学校だった。バスケットゴールと卓球台がかろう
じて学校であった事を想像させる。それほど無残に姿を変えていた。少しずつ町に足
を踏み入れるとその悲惨さが見えて来た。日に日に希望の薄くなっていく人命救助作
業をこの日も人民解放軍、特殊警察隊、レスキュー隊が懸命に行っていた。5階建て
のマンションの前に人だかりが出来ているので行ってみると、1階部分が潰れ、2階
部分のガラスを破って、中に進入しようとしているレスキュー隊だった。
そのマンションはその向かいは、倒壊してすっかり形を変えたバスステーション。瓦
礫が道を塞ぐ。町のメインストリートだった通りには折れた電信柱が数本。道の両側は
ボロボロになったビルがかろうじて立っているが、いつ倒壊してもおかしくない状態だ。
瓦礫の路地を歩いていると正面から大きな袋を抱えて、お母さんがやってきた。全身
ほこりと汗まみれでしんどそうに歩いているので声をかけると、お金と服を倒壊したが
れきの中から取り出したところだった。荷物を持ってあげながら話を聞くと「旦那は手
足を骨折して入院してるから」と言っていた。中国人ボランティアの女の子がそっとそ
の女性に寄り添っている姿は今も心に残る。
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中国四川省大地震救援ニュース 12
昨日の朝刊各紙によると、「ダム391カ所 災害恐れ」(神戸・18
日)、「800ダム 決壊恐れ」(朝日・18日)、「地震湖恐れ数千人
避難」(毎日・18日)、「土砂崩れダム決壊危機」(読売・18日)
と、大規模二次災害の危険性を警告している。被災地ではまだ
一縷の望みをかけて救出活動をしている一方で、テント生活や避
難所生活をしている被災者に感染症などの注意を促している中
で、現地新聞の次のような記事があったので「えっ?」と思った。
<CODE翻訳ボランティアによるものです。>
住宅再建に向けての動き
16日夜都江堰市建設局の指示;1か月以内に11万平方メート
ルの仮設住宅(災民臨時過渡房)を建設。
17日に建設を開始した。場所は幸福大道沿いで富民路を起点
とする地点。空地には13台の大型機械が整地をしており、1か月
以内に少なくとも2,3年は住めるような家を建設するとのこと。
(18日6時14分 成都商報)
昨日の朝日新聞朝刊では、「震源地に近いアバ・チベット族チャ
ン族自治州ぶんせん県にある大型ダム、紫坪鋪ダムには多数の
亀裂が入っており、決壊すると被災者救援本部のある都江堰市
が水没する恐れがある」と書かれています。やはり、阪神・淡路
大震災や新潟中越の教訓で、被災者にとっては大変厳しいこと
だが、あせらずじっくりと復興に向かって欲しいと願うばかりで
す。人間の安全保障を謳っている国際社会では、貧困撲滅や紛
争解決に必要なのは「保護とエンパワーメント」と言っている。
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中国四川省大地震救援ニュース 11
昨日「ニュース 10」で紹介しました現地のYさんからの文字化けレ
ポート?ですが、正式に訂正されて送られてきましたので再送しま
す。ニュース10で書いていた「成都の最大規模の避難所は」→「綿
陽市に入り、一番大きな九州体育館の避難所」の間違いです。
すみません。
(現地レポート再送)
今日は綿陽市に入り、一番大きな九州体育館の避難所を尋ね
た。ここには被害のもっともひどいと言われてる北川県の被災者
の方やその途中の永安鎮や#(テヘンに雷)鼓鎮、#(サンズイに旋)坪
の方が多く来ている。入り口には救援物資や古着の山済み、手
前の公園には無数のテント。尋ね人を探す張り紙や無料電話、献
血者、行き来する無数の人々。いざ体育館の中に入ると、周囲を
丸く取り囲むロビーに数多くの被災者の方々が寝ていました。
<img src="http://shisensyo.up.seesaa.net/image/P5260196-s-thumbnail2.JPG" alt="P5260196-s.JPG" width="200" height="133" border="0"
hspace="5"
*北川県の手前の永安鎮の陳永蓉さん(44歳、女性)は、地震の
あった翌日13日にこの避難所に軍の車で来たらしく、親戚一族
16人の内10人がこの避難所に来て、残りの6人は今も永安に
残ってテントで暮らしている。ここの避難所の様子を尋ねると、毎
日、お粥やマントウ、弁当、パンを食べていて十分だよと言っていた。
ただ、地震の時から降り続いた雨が原因で風邪を引き、それで
夜は少し寒く感じるよと。あと騒がしいね。今後望んでいることは
と聞くとまだ10代の娘さんといとこは、「村に帰りたい。そして家を
再建したい。」と語った。そして最後に昨日同様に、「わざわざ日
本から関心を持ってありがとうね、」と言ってくれた。
*永安鎮からさらに北に13キロの#(テヘンに雷)鼓鎮出身の大学生、
王彬くん(22歳男性)は、地震の時は、成都の西華大学にいた。地
震が起きてから、家族と再会できたのは、13日だったそうだ。親
戚10人のうち3人は怪我をして現在も入院していて、その中には
腰を痛めた81歳のおじいちゃんもいる。お兄さん夫婦とその子供
は今も村に残っているそうだ。彼の友達の中には瓦礫の下で亡
くなった人もいたそうだ。また、現在でも残っている人の中には
「瓦礫の中に子供が埋まっている。」と言ってそこを離れようとし
ない人もいると語ってくれた。いとこの夢楠ちゃん(5)は地震の
時、家の中にいたが、一人で飛び出して、かろうじて一命を取り
留めた。「この娘は本当に幸運だった」と言って頭をなでるお母さ
んは、「地震後、この娘は人を怖がるようになった。」と言ってい
た。江西省に「出稼ぎに行っている旦那さんとは明日、地震後初
めて再会する。愛娘の6回目の誕生日を共に過ごすためだ。「祝
生日快楽!!」と歌って、お菓子をプレゼントしてあげると、「謝謝(あり
がとう)!」と恥ずかしそうに微笑んだ。明日はこの避難所でどんな
日を過ごすのだろうか。
避難所になっている九州体育館では、各所に「尋親人」(親族
探し)という張り紙が目に付く。体育館前の道路では、紙に「尋親
人」と書かれた札をもった若いボランティアも多い。体育館内で聞き
取りをしていたら、中学生らしき男女数人がおじいちゃんに何や
ら話しかけているのを見かけた。「何しているの?」と聞くと「尋親
人」だよと答えてくれたのは、李嘉#(金が三つ)くん(14歳男性)。
友達を誘って今日初めてのボランティア活動だという。張り紙を見て
バスに40分揺られて綿陽市内からやってきた。「自分の家族も広
場にテントを張って生活しているけど、それほど被害もなかったし、
僕にも何かできると思って。」と周りの友達にからかわれながら
はにかんでいた。いま、こうして多くのボランティアがここで動いてい
る。成都の紅十字前では、毎朝若者を中心にボランティアが続々と
集まってきている。彼ら、彼女らの熱意が生きるような活動ので
きる体制、環境を切に願う。中国のボランティア文化の夜明けを感じ
させる。
その後、綿陽を出て安県に向かうにつれ、沿道の家屋に被害
が増えてくるのが分かる。だが、車窓から見る限り、不思議と屋
根が抜け落ちている家が多いことに気づいた。安県から北へ
走った安昌鎮では、僕たちが車を降りるや否や、沢山の人が
寄って来て、「内の家を見てくれ」と連れて行かれた家は木造平
屋1階の屋根はところどころ瓦は抜け落ち、壁は亀裂が入り、と
ても住める状態にはなかった。26年前に建てられたというこの家
の壁には木材や鉄筋されも使われていなかった。だが、屋根が
軽かったせいか、死傷者はいなかったそうだ。同集落のその他
の家屋にも同じような状況があった。どの家の壁にも鉄筋、木材
は使われておらず、杜撰に積まれたレンガが露わになっていた。
次から次へと家を案内された。最後に帰ろうとした時、一人の
中高年の男性がすごい剣幕で寄って来た。やにやら「内の家は
何で見ないんだ?!」と言っているようだった。そして通された家は
78年に建てられた古い家で屋根は落ち、壁はひび割れていた。
男性は憤りの思いを目に涙をためて表していた。 この安昌では、
皆とにかく「自分の家はこれだけひどいんだ」という事を誰かに
聞いてもらいたかったのだろう。彼らにとって被災に大きいも小さ
いもない。北川という最もひどい被災地へと続く途中の小さな町
の小さな声がここにある。
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