青海省地震レポート22

4月14日に青海省玉樹州を襲ったM7.1の地震は大きな被害をもたらした。州の中心である結古鎮やその周辺の郷鎮の被災者の多くは、結古鎮郊外の大草原にテントを張って暮らしている。ここは、夏の最大の祭りである「康巴(カムパ)芸術祭」の開かれる場所でもある。「救災」と書かれた数千張りの青いテント群が、数キロある草原を埋め尽くし、山の斜面でさえも見渡す限りの「青」である。聞くと、ここにどれだけのテントがあり、どれだけの被災者の人々が暮らしているか、正確な数字を政府やNGOも把握していないという。政府または、NGOによってマネジメントされていない避難キャンプでは、人を探すのもひと苦労だ。実際に地震直後に沢山の被災者がここに避難してきたが、家族、親戚に会えずに苦労したそうだ。一カ月半を経たキャンプでは、少しずつではあるが、家族や同郷の人々同志が、同じエリアにまとまって暮らしつつある。
 約100km近郊の称多県出身のAさん(40代男性)は、家族5人でこの草原に避難してきた。2つのテントを利用し、1つのテントには元の家から運び出したテレビや冷蔵庫、ストーブを綺麗に配置して暮らしている。娘達を結古鎮の学校に通わせていた事からAさん達は、数年前、結古鎮に中古の家を買って暮らしていたそうだ。被害を受けた写真を僕に見せてくれた。現代風な家屋で至る所に亀裂が走っているのが分かる。「もうこの家は使えないなあ」と肩を落とすAさん。今後、どうするのかと聞くと、「まだ分からない。家は政府が建ててくれるらしい。しばらくはこのテントで暮らすしかないなあ。。。」と語った。
四川大地震の時と同様に中国政府と青海省政府は、一人当たり1日10元の義捐金と500gの米を配布しているが、Aさん家族は、り災証明書(災民証)はもらったが、義捐金はまだ受け取っていなかった。実は、Aさんのすぐ隣のテントの7人家族は、たった1つのテントで暮らしていて、2人は地べたに寝ているという。
直後から活動している中国人ボランティアWさんの言った言葉が今も忘れられない。「若者など力のあるものが、テントや食料を持っていて、高齢者のような弱い人々には何もない。」
 地震直後に物資を見境なく配った事による弊害が今も影を落としている。やはり、この最大の避難キャンプが政府やNGOなどによってしっかりとマネジメントされなくてはならない。

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