青海省地震レポート20

地震発生から1カ月半を経た6月上旬、被災地、玉樹へと入った。州の中心、結古鎮は約2万3000人ほどの小さな町であるが、その建物の90%近くが倒壊したと言われている。実際、街をT字に貫く民主路と勝利路沿いの鉄筋コンクリート造のホテル、商業ビルなどは形をかろうじて残しているが、危険家屋のため使用不可能である。また、道路から少し入ると粘土造の家屋はことごとく倒壊しており、形さえ残していない。
街の中心であるケサル広場周辺には、政府によって配られた青いテントが立ち並び、被災者の人々は商売に精を出している。食堂、八百屋、洋服屋、仏教用具店など様々である。
だが、街は以上に埃っぽい。標高3700mの高地で乾燥している事もあるが、街中のいたる所でガレキの撤去作業が急ピッチに行われている。旧市街地の一部のエリアでは、軍によって数台の重機を投入して大規模に撤去されている。「たった1カ月半しか経ていないのに何でこんなに早いんだ?」と思った。その後、被災者やボランティアと話をしているうちにその答えが分かった。玉樹は、1年の内8カ月が厳しい冬に閉ざされ、最低気温-30℃になる時もあるという。再建工事の可能な期間は、5月から8月までのたった4カ月しかないと政府も発表している。そう言えば、四川の被災地でも、標高2000mを超えるチャン族の集落でも冬場の工事によってコンクリートの凝固状態が悪く、再建されたばかりの家に亀裂が入り、雨漏りから鉄筋が錆びて、誰も入居したがらないという事があった。
スピードを重視しなくてはいけない事情も理解できるが、急ぎ過ぎる事でより深刻な問題を引き起こすことも考えなくてはいけない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)