中国青海省地震レポート No.10

2008年5月に四川省を中心に襲った「5・12ブン川大地震」(日本では四川大地震)からまもなく2年。四川の被災地では急ピッチな再建工事が至る所で行われている。一方、日本ではほとんど報道されていないが、中国西南部では09年秋からの少雨により記録的な干ばつ被害が出ている。「100年に一度」とも言われ、2010年3月には貴州、雲南、広西チワン族自治区などの約600万ヘクタール以上の耕作地に被害が及び、1800万人以上が飲料水の不足を訴えている。中国のTVからは連日、カラカラに乾いた農地に顔をゆがめる被災者の姿や救援に駆け付けた軍の雄姿が報道されていた。毎年4月13日に行われる雲南省南部のタイ族の正月「撥水節」(水かけ祭り)もこの水不足から規模を大幅に縮小して行われた。
青海省地震はこの翌日(4月14日)に起きた。当日午前のニュースはこの西南部の干ばつ災害がメインであったが、青海省の被害が徐々に明瞭になるにつれ特番として報道され始めた。中国は世界第3の広大な国土を抱える分災害も多い。
四川大地震以後、中国政府は自然災害に対して迅速な対応を行ってきた。この青海省地震では緊急対応として、被災した日より被災者の人々に1日ひとり15元(約210円、国が10元、省が5元を負担)と500gのお米を3カ月間支給するとした。(四川の場合は、1日10元と500gのお米)。また、家族を亡くした遺族には8000元(約11万円)、住居を移転する場合は、ひとり150元(約2100円)の支給。三孤(震災で一人になった子供、高齢者、障がい者)には、毎月ひとり1000元(約1万4000円)を、子供の場合は18歳になるまで、高齢者は亡くなるまで、障がい者はその障がいの状況に応じて支給するトいう四川大地震以上の被災者対応を行っている。
また今後の復興についても、すでに復興計画策定に向けて国、省レベルでの数度の会議が開かれている。21日の青海省政府の発表によると復興期間の目標を5年とし、3年で復旧、再建の主要作業を終え、その後の2年で玉樹チベット自治州の玉樹鎮を「高原生態型商業・貿易・観光都市」(高原エコ観光都市)とするそうだ。長江、黄河、メコン川の三江源流近くである玉樹の環境特性を生かした復興という事であるが、本来のチベット族の遊牧、半農半牧の暮らしを取り戻せるような生活が求められる。
四川大地震後の復興過程の中では、その復興のスピードを重視し過ぎるが故に様々な問題、課題も出てきた。中国の有識者は、被災地をその目でしっかりと見、被災者の声をその耳でしっかりと聴き、四川で学んだ教訓や経験、失敗をしっかりとこの青海省へと伝えてもらいたい。
現時点での被害 (25日夕刻 青海新聞網)
死者:2220人
行方不明:70人

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