玉樹県の被災者は周辺の草原に張られたテントに避難しているようだ。この避難所になっている草原は実は競馬場である。夏になると青々とした草原に色とりどりの花が咲き乱れる。周辺からチベット人が一堂に会し、ここで盛大な競馬レースと物産交流が行われる。
これが玉樹康巴(カムパ)文化芸術祭である。標高3700mの高原で見事な歌声と豪快な踊りを披露し合う。女性は、チュパと呼ばれる袖の長い民族衣装に身を包み、首飾りや帽子などの煌びやかな装飾で美を競う。男性は、馬上からの射撃や疾走する馬の上で体を大きく反らせる曲乗りなどで馬術の技を競う。言い伝えによると、この震災で被害を受けたジェグゴンパ(結古寺)の一世嘉那(イシジャナ)活仏は、非凡な芸の才能を持ち、百種以上の歌や踊りを独創し、この玉樹を「歌舞の故郷」と言われる礎を築いたという。
この祭りの時、草原には数キロのテントが並ぶという。祭りは、1年に1度の盛大な物産市でもある。玉樹ではこうやって昔から祭りの際に芸術や物が行き交って発展してきたのだろう。
カムパ(カムの人々)は非常に頭がよく、商才にも長け、かつ勇敢な人々である。以前、このカムパの人々に会った事あるが、体も大きく、毛皮の帽子をかぶり、馬を自在に乗りこなす勇壮な男たちの気迫には感動したものだった。そして何よりもその仏教へのひときわ厚い信仰。このカムパ精神を持ってすればこの困難を乗り越える事が出来るに違いない。
(18日10時時点)
死者:1706人
行方不明者:256人
負傷者:12128人(うち1424人重傷)
中国青海省地震レポート No.3
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