月別アーカイブ: 2013年12月

【フィリピン台風30号】救援ニュース No.27

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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.27
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『台風に備えて』
 私が第1次派遣隊としてセブ島北部、パナイ島を調査した10日間の中で、「台風が来ることは知っていたため、事前の備えをしていた。」という言葉がよく聞かれた。台風30号(Haiyan)は上陸前から「スーパータイフーン(勢力の強い台風)」として警戒されており、政府も万全の対策をもって台風の上陸に備えていた。例えばパナイ島北部のカリボ市では上陸の2日以上前から避難勧告が出ていた。
 しかし、「避難勧告は出ていたが、まだ風が強くなかったので避難しなかった。」とロハス市でスクラップを転売して生計を立てる女性は言っている。彼女は避難勧告が早すぎて危機を感じなかったために避難せず、台風が来る頃には家から出られなくなってしまった。
 セブ北部やパナイ島北部の町を見てみると特に防災無線のようなものは無く、行政職員がメガホンで避難を呼びかけるだけだったという。フィリピンで一番小さい行政単位であるバランガイでも、だいたい1500人から3000人の人口を抱えるため、呼びかけてまわるだけでは聞こえていない人もいるはずだ。
 住民も台風が来るとわかって家屋の屋根や壁をロープで固定して、風に飛ばされないようにするなどの対策をしていたが、結果的にはこの対策はあまり意味がなかったとカリボ市の住民は述べている。しかし決して台風を甘く見ていたわけではなく、彼らができる最大限の台風への備えをしたのだろう。台風に備えようとする意識を今回の台風以前から持っていると感じた。だからこそ、その気持ちを最大限に活かした備えができなかったことがもったいない。
 フィリピンにはお互いに助け合おうとする「バヤニハン」という考えがある。これは防災対策を学べば近隣住民で共有し合い、非常時にはお互いに避難や対策を呼び掛け合い、ともに備えにあたる土壌となる。もし避難場所である学校が今回の台風に耐えることができれば、もし防災無線での避難指示ができれば、もし風に強い家屋の補強ができていればと非常に強く感じた。(上野智彦)

【フィリピン台風30号】救援ニュース No.26

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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.26
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「被災地のクリスマス、私たちには希望がある!」
 国民の93パーセントがキリスト教徒のフィリピンでは、クリスマスが
1年で最大のイベントだそうだ。早朝に教会のミサに行き、聖歌を歌い、
家族、友人と賑やかにパーティーを開いて聖なる日を過ごすという。
 今日、クリスマスイブは、被災地の各地の教会では粛々とミサが行
われ、被災者の人たちの祈りが捧げられている。フィリピンのキリスト
教徒の間では、クリスマスイブまでの9日間、毎朝、祈りを続けていると
願いがかなうという言い伝えがあり、屋根の吹き飛んだままの教会で祈
り続けている人も少なくないという。子どもたちもガレキの中から拾っ
てきた木切れに色んな物をつるしてクリスマスツリーを作っているそうだ。
 まにら新聞によると、レイテ島タナワンという町では、台風で倒れた
樹齢100年のアカシアの木の根っこに支援してくれた団体や外国政府の
名前や感謝のメッセージを飾った「クリスマスツリー」ができているそ
うだ。そのツリーの真ん中には、「屋根なし、家なし、でも私たちには
希望がある」と書かれたボードが飾ってある。多くの被災者は「クリス
マスまでには家を!」と思っているが、仮設の住宅に入居できているのは、
ごくわずかである。この過酷な状況の中でもフィリピンの被災者たち
は、希望を持って生きようとしている。
(吉椿雅道)

【フィリピン台風30号】救援ニュース No.25

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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.25
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「40日の喪の期間が過ぎ・・・」
フィリピン台風Haiyanによる被害は、19日時点で死者6092人、行方不明者1779人であるとフィリピン国家災害対策本部は発表している。
 フィリピンには、ハロハロ(タガログ語でごちゃ混ぜ)という言葉があるという。スペインに400年間、アメリカに50年間、日本に4年間支配されていた歴史から様々な文化、価値観が交じり合っている事がハロハロという言葉からも想像できる。中でも国民の93%がキリスト教徒で、そのうちの83%のカトリック(=スペイン)の人たちの間では40日間、喪に服す習慣があるという。最大の被災地となったレイテ島タクロバンでは、空港から中心部に向かう道は追悼のロウソクが1200個灯されているという。
 40日間の喪の期間に合わせるかのように被災地では、少しずつではあるが、緊急状態から復旧、復興段階に移行しつつある。日本の緊急援助隊医療チームも「緊急医療はひと段落した。今後は復興支援が中心になる」と先週、撤退した。
 フィリピン政府は、18日に復興計画を発表した。2017年までの4年間をかけ、国家予算の15%にあたる3610億ペソ(9025億円)を投じて、住宅再建やインフラ、産業、教育などの復興にあたるという。特に防災・減災に力を入れ、住宅の強度や安全な場所への移転などを行う。これからが本当の意味での復興への長い道のりが始まる。
CODEは、詳細な現地調査をもとに被災地の人々が「バヤニハン」(相互扶助の精神)を生かした住宅再建や漁業などの生業支援などを行う予定である。フィリピンの人たち自らが、復興の担い手になるよう少しでもエンパワーメントできればと思う。

(吉椿雅道)

【フィリピン台風30号】救援ニュース No.24

フィリピンの台風被災地へのご支援ありがとうございます。
引き続き関連情報をお伝えしてまいります。
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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.24
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「生業の再開が復興への鍵」
フィリピンを襲った台風は各島々に大きな被害をもたらした。CODEスタッフが視察に訪れたセブ島北部とパナイ島の東海岸では農業や漁業が盛んだが、この主要な収入源も台風によって甚大な被害を受けた。(パナイ
島北東部の町コンセプションでは町の全就業者のうち78%が農業もしくは漁業関連の仕事を行っている)
農業は主にココナッツ・バナナ・コーン・さとうきび・ライスなどを栽培しているが、特にココナッツとバナナは大きな被害を受けている。ココナッツの木については、完全に元通りに戻るまで5年~7年の歳月が必要だと言われている。フィリピンは温かい気候のため年中お米を作ることが出来るが、パナイ島で農業を営むAlma Dinio(30代・女性)さんは「(お米の)収穫後に台風が来たから私は良かったが、収穫前に来てしまった農家もあり、どのくらいの金額の被害を受けたかもわからない」と話してくれた。漁業従事者の多くは持っていた船が全壊もしくは一部損壊してしまい、漁に出られない状態だという。パナイ島最大の港町で働くLeona Navarro(30代・女性)さんは「船を失くしてしまった人は漁師に代わる仕事がなく収入が無い」と話す。
今回の台風はもともと貧困の問題を抱えている地域により深刻な問題をもたらしている。収入が少なくなる、あるいはまったくなくなってしまう事によって、安価な住宅での生活を余儀なくされ、高潮被害を多く受けた地域や土砂災害の危険がある地域に住まざるを得ない状況だ。主要な産業である農業や漁業が大きな被害を受けていることは、その周辺の小規模な露天商など地域の経済にも大きく影響を及ぼしている。地域の復興を長い目で考えれば、生業(なりわい)の再建が必要になるだろう。
(頼政良太)

【フィリピン台風30号】救援ニュース No.23

フィリピンの台風被災地へのご支援ありがとうございます。
引き続き関連情報をお伝えしてまいります。
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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.23
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「台風Haiyan災害から1か月」
8日で台風Haiyan災害から1か月が過ぎた。甚大な被害を受けたレイテ島タクロバン市では、強風により屋根の吹き飛んだ教会でしめやかにミサが行われ、哀悼の祈りがささげられた。国民の93%がキリスト教徒(うち
83%がカトリック)ならではの風景である。
フィリピン国家災害対策本部による6日の発表では、死者は5786人、行方不明1779人であるという。また、UNOCHA(国連人道問題調整事務所)の報告では、現在、385か所の避難所に94310人が暮らしており、未だ300万人が食糧を必要としていて、山間部や小さな島々に届く物資はわずかであると言っている。セブやパナイの被災地を調査したスタッフも「バランガイの拠点まで物資が来ても、山間部の被災者たちは、それを取りにいく車もガソリンもない」と同様の報告している。また、WHO(世界保健機関)の報告では、子どもたちの深刻な栄養失調による危険性も指摘している。
タクロバンでは、キャッシュ・フォー・ワーク(※)で働く被災者によってガレキ撤去がだいぶ進み、路上で露天商を営む人たちの姿が現れ、落ち着きを取り戻し始めている。だが、多くの被災者は援助機関によって配られたトタンと木材を使った簡素な掘立小屋で暮らしている。
1か月を経て、今後、復旧から復興に向けた支援が求められるが、子どもたちなどの要援護者にとっては緊急状態が依然続いている。
(吉椿雅道)
※キャッシュ・フォー・ワーク(Cash for Work)…被災地等において、復旧・復興事業に被災者を雇用して賃金を支払うことで、その生活や地域経済の復興を支援すること。

【フィリピン台風30号】救援ニュース No.22

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フィリピン台風30号(Haiyan) 救援ニュース No.22
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「フィリピン台風災害 被災地派遣報告会」開催!!!
 フィリピン台風災害被災地派遣報告会(主催:CODE)が、昨日12月3日(火)にこうべまちづくり会館(神戸市)で開催されました。神戸市内だけでなく、関西圏や東京や在日フィリピン人の方々など61名の方々にお越しいただきました。今回のフィリピン台風災害に多くの方々が心を痛め、関心を抱いておられるという事を強く感じる機会となりました。
 セブ島やパナイ島を訪れたスタッフの報告では、現地の人たちが「バヤニハン」という相互扶助の精神で互いに支え合いながら過酷な状況を乗り越えている様子や被災地では家屋再建の材料である竹が高騰していることや農漁業の再建の見通しが立たないことなどが報告されました。フィリピンの農漁村に長く横たわる貧困の問題も復興の遅れにつながっているという大きな課題も見えてきました。
 今後、CODEとしては今回のスタッフの現地調査をもとに被災者の声や被災地のニーズを大切にした家屋の再建や農漁業の生業支援などの復興支援プロジェクトを考えていきたいと思います。皆様からお預かりしている寄付金を最大限に生かせるよう努力していきたいと思います。プロジェクトが決まり次第、ご報告をさせていただきたいと思います。
 
 この報告会では、スタッフの現地報告に加え、ご協力いただいている団体の方々を紹介させて頂きましたが、この報告会に来られなかった個人・団体の方で寄付を頂いた皆様や翻訳などでCODEの活動を陰で支えていただいているボランティアの方々にも改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 フィリピンの全人口の14%が被災するという大災害を受けた被災地の復興にはまだまだ時間も資金も必要となります。今後とも引き続きご支援、ご協力のほどよろしくお願い致します。    
 (CODE海外災害援助市民センター事務局長 吉椿雅道)
報告会 写真
        ▲報告会のようす