第 3 次パキスタン訪問日記No.8

<仮設市街地構想>
さて、シェルター支援を求めているもう一つの背景、「仮設市街地構想」とは何だろう。
 「仮設市街地構想」とは、阪神・淡路大震災の教訓から生まれた新しい概念であり、「東京都震災復興マニュアル」で、その位置づけが明確になったとされており、2004年新潟中越地震の一部被災地ではこの構想が実現しているものである。具体的な内容は、都市の大災害時には被害が広範囲に及ぶため、避難生活からただちに本格復興に取り組むことは困難であり、避難生活と本格復興が実現するまでの間に、暫定的な生活の場を設け、その場において本格復興のあり方についての協議・合意形成をはかって、本格復興に着手する、と解説されている。従って実は、ここのCBOがオリジナルで構想した訳ではない。
 この構想は、JICAが実施している「パキスタン国ムザファラバード復旧・復興計画調査」の関連として浮上してきたものである。そもそもの発案者である仮設市街地研究会(連絡先 東京)は、「仮設住宅ではなく、仮設市街地としたのは、暫定期間とはいえども暮らしや仕事の再開をしなければならず、そのために暮らしを支える諸施設(保育所、学校、診療所、店舗など)や、仕事の場(工事、事務所など)、復興協議の場(集会場、プランニング・ルームなど)を仮設建物によって備える必要がある」とつけ加えている。つまり、住まいと暮らしを含む総合的な「住まい方」を創造するために必要な、暫定的な仮の暮らしの場である。このCBOは、仮設市街地研究会の提案を受けて、この構想を実現するためにもCRC(復興委員会)を設置した。