パキスタン出張報告

 CODE事務局長の村井です。3月22日から26日までの駆け足で、パキスタン地震以後初めてのパキスタン入りをし無事26日帰国してきましたので簡単にご報告しておきます。今回の調査は、パキスタン・ローコスト耐震工法普及についてのJICAミッション(パキスタン・ローコスト耐震補強プロジェクト形成調査)でもあったため、これまでCODEが調査してきた被災地バラコットやバタグラムまでは詳細に訪問できなかったのが残念です。それでも駆け足で、先に入っていた吉椿さんの案内でいくつかのテント村も訪問させて頂き、地震発生後半年を前にした被災者の状況を見ることができました。まず第1報として、ローコスト耐震補強工法のデモンストレーションについてのみレポートします。
————–
 CODEとしてパキスタン入りは二度目になるが、今回は昨年10月8日に発生した「パキスタン地震」に関連して、「パキスタン・ローコスト耐震補強プロジェクト形成調査」というJICA案件での訪問である。具体的には、東京大学生産技術研究所・都市基盤安全工学国際研究センター目黒公郎教授提案による「PPバンド仕様のローコスト耐震補強」の普及啓発のためのデモンストレーションへの調査団としての同行だ。CODEは、このローコスト耐震補強工法を被災住民に普及させるための現在の被災者の生活状況を調査するという役割である。
 さてこの工法は、ホームページの「Meguro Lab.」で詳細が紹介されているので省くが(今HPを改装中でリンクが切れているようです)、海外でのお披露目は初めてではない。この「PPバンド仕様のローコスト耐震補強」を簡単に説明する。対象としている住宅のタイプは、例えばレンガやブリックを積み上げて、屋根を乗せただけのタイプであり、こうした構造を「組積造」といい、世界中の住宅の中でも、アドベ住宅(土壁)、石組み住宅、レンガ住宅などの組積造構造住宅は6割を閉めるそうだ。木の文化を住まいにも取り入れてきた日本の住宅文化からすると以外な数字かも知れない。今回のパキスタン地震で倒壊した住宅の多くもこれだ。この工法は、組積造構造の壁を一体化し、強い地震で揺れても倒れないということを目的として考案されたもので、網目模様に接着したPPバンド(荷造り用のポリプロピレンバンド)で、壁を包み込むようにし、屋根の横軸柱ともPPバンドでつなぎ、一つひとつバラバラのレンガ壁を一体化するというもの。
 こうした単純にレンガやブリックを積み上げただけの住宅は多く、今回のパキスタン地震だけではなく、01年のインド・グジャラート地震、02年アフガニスタン北西部地震、03年イラン・バム地震などが代表的な事例で、なんとこれらの地震だけでも、10万人以上が亡くなっている。倒壊家屋数は相当なものである。「何故、これくらいの住宅に耐震が施せないのか?」と、阪神・淡路大震災以来、地震が起こるたびに悔しい思いをしていた。地震によるこんな被害をいつまで繰り返すのだろうと危惧していたが、2年ほど前にこの工法を知った。研修会などで目黒教授とご一緒したときに、直接教授からパソコン上で実験結果なども見せて頂いていた。やっと画期的な耐震補強工法が生まれた。ケースによって様々だが、建築費の5%以下で押さえられるところが低所得所得者層には魅力だ。これまでも教授は「1ドル以下で出来る耐震補強!」と言っていたが、今回のパキスタンでのモデル住宅(約60平方メートル-2部屋)は、材料費は3000円ほどで工賃を含めても3万円程ということだ。地震後の諸物価の高騰もあり、工賃は倍に跳ね上がっているため通常より高くなる。
 そもそも災害直後の応急対応期には、避難所から仮設住宅ありきではないという「災害後の仮住まいのあり方」を考えると、瓦礫の片づけやある程度の住宅再建に関する労働には、公的支援が拠出されてもいいのではと思う。何故なら、被災者もできればいち早く自分の力で稼ぎ、しかるべき税金も払える納税者となり、コツコツと暮らし再建の道を歩みたいものだ。そういうシステムになると、例えばこの「ローコスト耐震補強」にかかる費用もわずかな材料費だけですむことになる。実物大のモデルハウスでも実験済みだが、数千円で尊い命が守られるなら安いものだ。
 今回被災地のムザファラバードで実験したのは、6分の1モデルでの実験だが、生憎終日激しい雨という中で約300人が集まり、実験が終わるまでの3時間ほどは誰も席を立つものがなかったほど真剣に目黒教授のプレゼンテーションに耳を傾け、また振動台で揺らす実験に見入っていた。参加者にはエンジニアや石工たちも数多くいたように見受けた。是非、技術者が理解し各々の被災地において、住民の住宅建設に指導を入れて欲しいと願う。最低一人の習熟した技術者がおれば、あとは地域の住民がボランティアで参加し、工法を覚えればできることでもある。この目黒提案がこうして世界中に発信されたということは、阪神・淡路大震災以来耐震をいい続けてきた被災地KOBEの私たちにとっては、この上ない朗報であり、こういう形ではあるがみなさまとも共有したい。
「パキスタン北東部地震」救援募金にご協力下さい
 郵便振替:00930-0-330579 加入者名:CODE
 *通信欄に「パキスタン地震」と明記してください。
募金全体の15%を上限として事務局運営・管理費に充てさせていただきます
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
CODE海外災害援助市民センター