「ネパールで豊かさについて考える」
あの日から1年が経った。アジアの最貧国というレッテルを張られ、先進国から勝手に貧しい国と呼ばれているネパールでM7.8の地震が発生した。
CODEが耐震住宅再建を行っているグデル村は、世界最高峰エベレスト(8848m)を有するソルクンブ郡にあり、カトマンズから車で15時間ほど走り、そこから2000m前後の山を2回アップダウンして、ようやくたどり着ける場所にある。当然、村までは車道は通っておらず、どの空港からも歩いて3~4日はかかるところだ。村は、ほぼ自給自足の暮らしを営み、朝は鶏や牛の泣き声で目が覚める。天気がいいとメラピーク(6654m)が眼前に広がり、耕して天に至るような緑の棚田とのコントラストがとても美しい村だ。
【グデル村から望むメラピーク】 【シェルパの若者たちと】
2月にこの村を訪ねた時に、大工や若者たちと語り合う時間を沢山持つ事ができた。ラクパさんのように日本に関心を持つ若者も多い中、日本での自殺の現状を敢えて話してみると「シェルパの間では、自殺をする人は一人もいない。どんなに困った人がいても助け合うから。」と皆、口をそろえて語っていた。そして「本当はカトマンズには行きたくないけど、仕事がないから」という若者も少なくない事も分かった。
この地震の後、山村からカトマンズに避難していた被災者たちが、昨年9月以降の新憲法への抗議デモでインドからの物資が止まった時に、多くの人は山の村へと帰っていった。村に帰って耕せば何とか生きていけるという被災者たちの賢明な判断だったと思う。
このグデル村にはほんの数ケ月前に電気が来た。そして車道も徐々に村まで伸びてきている。これからこの村は大きく変わっていくだろう。そんな村で、若者が町に出ずに村にいた方がいいと思えるためには、何を大切に残し、守るのかをこの震災を機に村の人たちと共に考えていきたい。震災から1年、豊かさとは何かを考えたい。(吉椿雅道)
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