ネパール地震救援ニュースNo.44

「変わっていくグデル村とモデルハウス建設」

 1月5日~16日に行ったネパール第3次派遣ではモデルハウス作りを実施しているグデル村を訪れました。車で12時間、さらに歩いて2日かけてたどり着いたグデル村は都市のような排ガスの臭いもなく空気が美味しい段々畑の斜面にあるのどかな田舎の村でした。先に村に入っていた京都建築専門学校の山本耕資さんとともにモデルハウスの視察や村の大工さんとの話し合い、ネパールー日本の技術交流などを行いました。

 村の大工さんはモデルハウスを通じて技術を学ぶことに非常に貪欲で、カトマンズの建築専門家が村に到着するのが遅れた際にも「専門家からのレクチャーはいつから始まるんだい?」と新しい技術や建築方法を学ぶのを非常に楽しみにしている様子でした。今回、モデルハウス作りについて大工さんや村のコミュニティの方々と話し合いをする中で屋根の材料について話す機会が何度かありました。村では伝統的に木と竹を使った屋根が用いられてきました。しかしここ数年で他地域から運び入れたトタン材が普及したことで、特にグデル村中心地ではほとんどの家がトタン屋根に変わっていきました。水はけが良く、耐久性に優れた鉄製の屋根は確かに村の生活においては便利なものですが、一方で伝統的な木と竹の屋根の家は次々と減っていっています。木と竹の屋根は確かに頻繁に手入れが必要ですが、しっかりと軒先が揃えられた木製屋根は美しく、また村の中で手に入る材料で作ることができます。村にトタン屋根が増えていく中でモデルハウスもトタン屋根にすればという意見もありました。しかし、トタン屋根以外の選択肢を未来へ残していくという意味でもモデルハウスにはより耐久性に優れた木と竹の屋根作りに挑戦していくことに村の住民の方々も同意してくれました。

 便利なだけではない。ただ地震に強いだけではない。村が持つ魅力的な文化を大事にしながら、村の生態系を守る村の中で循環する家づくりを考える。グデル村の住民とカトマンズの専門家、CODEがともに行うモデルハウス作りを通じてネパールと日本の両国が学んでいきます。
(上野智彦)

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グデル村のようす、青いトタン屋根の家が増えている

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