2009年10月23日付のブログでご報告しました、エヤドー村・レイインクィン村での食糧配布時の写真が、現地カウンターパートから届きましたので、ご紹介します。
「今から配りますー。皆さん順番に受け取って下さいね。」
皆さん、1人につき20日分のお米を持って帰っていきます。
配布の行われた9月10日からもう3ヶ月近く経ちます。
今後も被災地の様子を見守っていきたいと思います。
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緊急支援:ミャンマー・サイクロン「ナルギス」の被災地への食料支援のご報告
2009年8月21日に呼びかけました、ミャンマー・サイクロン「ナルギス」(注1)の緊急食料支援にお答え下さった皆様、有り難うございました。9月10日に、現地NGO「メッタ」を通じ無事に配布することが出来ました。下記の通り、ご報告申し上げます。
1.支援活動実施地:
エラワディ管区ラプタ地区ピンサルー島エヤドー村・レイインクィン村
2.エヤドー村・レイインクィン村のサイクロン被害の状況:
レイインクィン村では少なくとも377人、エヤドー村では少なくとも560人が命を失った。
3.支援活動の流れ
・2009年7月前半:現地カウンターパートのNGOメッタ(注2)のヤンゴン事務所スタッフが2村を訪問。現地の食糧不足を目の当たりにし、その惨状を元CODE非常勤スタッフに伝えた。
・8月21日:上記スタッフからの訴えを元にCODEが支援決定、寄付を呼びかけ。
・9月3日:現地に送金。
・9月10日:エヤドー村で296袋、レイインクィン村で438袋の米がメッタ・フィールド・コーディネーターにより配布された。ひと袋に付き、50kgの米が入っていた。各村人はコンデンスミルク缶40個分の米(20日分の米)を受け取った。
*配布時点での村の人口は、エヤドー村1,437人(男性786人+女性651人)・310世帯で、レイインクィン村1,807人(男性986人+女性821)・546世帯。
・10月16日:メッタより簡易報告書が届く。
4.支援の成果
メッタより、「2村を含む地域は家屋や他のインフラが再建されることにより安定してきたため、避難していた人々が戻ってきたり、小規模村や孤立した地域から人が移住してきたりして人口が増加してきていた。今回の米配給は、今年の米収穫までの食糧不足の軽減、飢餓からの回避に貢献した。」と報告がありました。
以上です。メッタから写真が届いたら、また皆様にご報告します。
CODEは今後もメッタと連絡を取り、被災地の状況をも見守っていく予定です。どうもありがとうございました。
(注1)ミャンマー・サイクロン「ナルギス」とは
・発生:2008年5月2日~3日
・被災人口:約240万人
・死者・行方不明:約13.9万人 家畜被害大
・主な被災地:ミャンマー南部エラワディ管区エラワディ川デルタ地域~ヤンゴン管区
・ミャンマー史上最大の災害(暴風と高潮)
(注2)メッタ:
Metta Development Foundationは1998年設立のミャンマーのNGO。http://www.metta-myanmar.org/
メッタはナルギスに関し、食の安全保障・教育・保健などの6分野での2008年から2011年までの支援(http://www.metta-myanmar.org/pdf_files/Global_Proposal.pdf)を考えている。メッタは2004年津波以来、災害支援に取り組んでおり今般被災地の地理も熟知し、コミュニティーの人々との信頼関係も厚い。
緊急支援:ミャンマー・サイクロン「ナルギス」の被災地がピンチ(続報)
本格的に漁業が再開できる10月の前に、前回ご報告しました二村に食糧配給が出来るよう、本日Metta Development Foundationへの第一回送金を行いました。
村に配布する日程をMettaが調整中です。
ご寄付、ありがとうございます!
緊急支援:ミャンマー・サイクロン「ナルギス」の被災地がピンチ
緊急支援:ミャンマー・サイクロン「ナルギス」の被災地がピンチ
◆みなさま、緊急支援の訴えです。!!
◆ミャンマー・サイクロン「ナルギス」の被災地がピンチです!!
みなさま、この呼びかけを聞いて「えっ、ナルギス?」と思われたことでしょう。そうです。ナルギスはもう1年以上も前の災害です。ところが、あの時の被災を受けられた二つの村で、下手すると村人3,000人以上が餓死寸前というところがあることが分かりました。下記のレポートは、CODEの関係者で、ミャンマー事情に精通しておられる方からのもので、CODE理事会では「これは見放すわけにはいかない!」ということで緊急支援を呼びかけることにさせて頂きました。何卒ご理解の上、ご協力をお願いいたします。
●500円の募金で、一人の村人が1ヶ月お米を食べられます。!!
詳しいことは下記のレポートをご覧になって下さい。二つの村で人口3,095人が住んでいます。もともとこの村の生計は、農業と漁業とで成り立っているようですが、1年前のサイクロン「ナルギス」で備蓄していたお米が流され、また本格的な漁業を再開するまでには、10月まで待たなければならないという状況です。残念ながら、農業はサイクロンによる塩害により再建の目途が立たず、本来ならば9月中に漁業を再建させ、食糧などを購入するための現金収入があてにできるところなのですが、その見通しも閉ざされているというのが現実です。そこでCODEとしては、当面急いで一人500円の募金を集め、3,095人が少なくとも1ヶ月はお米が食べられるようにしたいと考えています。
●緊急に必要なのは、約150万円です。一口500円の募金を呼びかけます。お一人何口でも結構ですのでご協力をお願いします。
郵便振替 00930-0-330579
加入者名 CODE
*通信欄に「ミャンマー」と明記して下さい。
ミャンマーナルギスHuMA救援プロジェクト報告会 無事終了!
昨年5月に発生したミャンマーナルギス災害に対して、CODEは鵜飼先生が理事長を務めるHuMA(ヒューマ:災害人道医療支援会)を通して支援を行いました。
3月19日に当会事務所で行われた鵜飼先生の報告会は、12名(新聞記者、NGO、JICAなど)のご参加の元、無事終了致しました。
その報告の一部を、ここで皆さまにお届け致します。
(なお、報告会終了後の懇親会も盛り上がりました♪)
1.ミャンマー・サイクロン「ナルギス」とは
・発生:2008年5月2日~3日
・被災人口:約240万人
・死者・行方不明:約13.9万人 家畜被害大
・主な被災地:ミャンマー南部エラワディ管区エラワディ川デルタ地域~ヤンゴン管区
・ミャンマー史上最大の災害(暴風と高潮)
2.支援活動実施地:
エラワディ管区モウラミャインチュン地区
エラワディ管区の特徴:人畜共生、簡素な住居、水路が細かく張り巡らされた列状村、水牛による農耕、陸路の移動よりボートを利用した水路移動が主
・被害の状況:
ハード面:住居倒壊、公共施設倒壊、交通遮断
ソフト面:人的被害(死亡・負傷・心理的ショック)、生活用品・食料・薬・生活手段(ボート・家畜・種)損失
3.支援活動の流れ
・5/17~(サイクロン二週間後):活動実施のための調査・準備に奔走。
*各種困難:外国人による直接支援の禁止。国民投票実施(5月24日)完了後にしか大規模な支援活動は受け入れられず。新規参入団体は活動実施のために既存の団体と覚え書きを交わす必要あり。海外からの送金が困難。
・8月~:保健施設再建に関し、IOM(国際移住機関)と覚え書きを交わす。現地スタッフ雇用、現地調査など活動開始。
・11月~:井戸建設に関し、地元NGOと覚え書きを交わす。
・12月:着工→2009年2月初:竣工・引き渡し
4.支援の成果
①保健施設:村人にとって最も身近な保健施設である「SHRC(簡易保健所・通常、助産師一名が常駐)」が再建され、病気になった時の不安から解放された。
②井戸:安全な水へのアクセスが可能となった。(死体や農薬が混入した川の水を、飲み水に利用せずにすむ。水の入手が困難であった乾季にも水が得られる。)
鵜飼先生より:「CODEの資金のおかげで、当初想定していなかった、村人のニーズが高い井戸建設を行うことが出来た。感謝します。」
以上
*HuMAとは:
・設立:日本国際緊急援助隊医療チームのメンバー中心に2002年6月設立
・活動:災害人道救援医療(国内外)・災害医療のサイエンス研究・災害医療教育・研修の充実
・会員数:410名 (2009年2月現在)
・ホームページ:http://www.huma.or.jp
ミャンマーナルギスHuMA救援プロジェクト報告会
昨年5月に発生したミャンマーナルギス災害に対して、
CODEは鵜飼先生を筆頭とするHuMA災害人道医療支援会を通して支援を行っています。
このHuMAによって、現地で病院再建・井戸建設・医療支援等についてのプロジェクトが進められてきました。
発災から8ヶ月以上経ったところで、プロジェクトは一段落したということです。
そこで先日ミャンマーから帰国された鵜飼先生を講師としてお招きし、
プロジェクトの内容について寺子屋形式でお話して頂く機会を設けました。
以下のように設定いたしましたので、ぜひご参加下さい。
・場所 CODE会議室
・日程 3月19日(木)
・時間 報告会 18:30~ 1時間程度、その後夕食を兼ねた懇親会(~21:00前後まで)
・講師 HuMA災害人道医療支援会 理事長 鵜飼 卓
HuMA URL→ www.huma.or.jp
・費用 一般2500円 学生1500円 (食事費用含)
・定員 15名(要予約)
ご参加される場合は必ずCODEまでご一報下さい。
ミャンマー・サイクロン被災者支援事業報告
NGO災害人道医療支援会(HuMA)を通じて支援を行っています。
下記、HuMAのホームページをご覧下さい。
http://www.huma.or.jp/activity/myanmar.html
ミャンマー・サイクロン被災者支援ニュースNo.29
サイクロンの被害によりデルタ地帯の米作に悪影響が出ていることは以前お伝えしましたが、この地域の農業に欠かせない家畜も死んでしまったことことから、農業を再開することが困難になっていることが伝えられています。家畜での耕作を行う農民が耕運機を使いこなせないこと、これからの支援のあり方において教訓となるでしょう。
<以下はCODE翻訳ボランティアさんからのものです。>
[サイクロンがミャンマーの米作に与えた影響に関するレポート]
Mizzima News 2008.7.1記事より抜粋
FAO(国連食糧農業機関)によると、国の65%の米を生産しているイラワジデルタがサイクロンによって一番の被害を被り、少なくとも12万の家畜―牛や水牛―が死んだという。それに加えて、生き残った家畜の多くが餌不足やハエにわずらわされて休めないことなどによっていろいろな病気にかかり死んでいる。ラブッタ地域では口蹄疫が流行して各村で牛や水牛が死んだ。新たに支給された牛も、数日働いただけで死んでしまう。ボガーレでは家畜の姿は見えなかった。
政府は耕運機を支給しているが、数が足りず、たくさんの農家で交代で使っている。農民たちは、耕運機という機械に慣れておらず、その扱い方が難しいので、水牛を使った昔ながらの耕し方の方がよいと思っている。
The Irrawaddy 2008.7.4記事より抜粋
イラワジデルタの少なくとも70%がいまだ耕作されていない。農民は時間との戦いをしていた。7月半ばを過ぎると夏のモンスーンが始まって、農地が水で覆われてしまうため作付けができなくなるからだ。仏教徒の行事(注1)の始まりとなっている太陰暦のワソ(7月)の満月の日までに伝統的な作付けの時期(注2)は終わっている。今年のその日は7月17日である。サイクロンから2ヶ月が過ぎ、作付け時期の終わりまであと2週間をきって、多くの農民達は種籾や水牛の不足に悩んでいた。すぐに作付けしないと10月に収穫できなくなる。
新しい種籾の配給を受けた農民は、この土地でその種籾はよく育たないと言っている。この地域ではこれまで決まった種類の種籾を使っていて、他の種類だと問題が多く、米の質がとても悪くなるとラングーン管区のクンヤンコンの農民は言っている。
ミャンマーの農業と灌漑の役所の発表したデータによると、イラワジ管区の1,066,271エーカー、ラングーン管区の300,713エーカーの農地がサイクロンの高潮によってだめになったという。100万エーカー以上の農地が海水に浸り、20万以上の家畜が嵐で死んだことになる。
ミャンマー農業開発銀行はラブッタの農民に441万カヤット(375,000USドル)の融資の支払いを計画している。ミャンマー農業組合ではサイクロン被災地の農民に種籾と肥料を支給する予定にしている。
ボランティアやミャンマー政府はひどく被災した地域へ耕運機を支給しているが、数はまったく足りていない。
農業省は、嵐で死んだ28万以上の家畜の代わりに13,600台の耕運機が必要だと言っている。
(注1) ワソから3ヶ月間、僧は外出を控え、寺で瞑想する。
(注2) ミャンマーでは、乾期作付け(ヌエーザバー)と雨期作付け(モーザバー)の二期作をしている。今は雨期作付けの時期。
ミャンマー・サイクロン被災者支援ニュースNo.28
ミャンマー南部デルタ地帯を中心にサイクロンが襲ってから2ヶ月余り
が過ぎました。下記のレポートでは詳細な医学的調査結果が出され、様
々な伝染病が蔓延していることなど状況がわかります。未だ支援があま
り届いていない地域の危機的な状態にある被災者への支援が急がれます。
<以下はCODE翻訳ボランティアさんからのものです。>
WHO(世界保健機関) レポートより
WHOと協力する医療関係支援団体によるミャンマーサイクロン被災地で
の疾病調査(早期警戒・警報応答システム(EWARS)に基づく調査、数
字は症例数)
6.1~6.7 6.8~6.14
・急性呼吸器感染症 685 1191
・出血性下痢 117
・急性下痢 542 863
・心的外傷・外傷 337 708
・はしか 10 25(ラブッタにて疑いのあるもの 6.26
現在)
・マラリヤ 5
・デング出血熱の疑い 3
[デング出血熱対策]
デング熱はミャンマー地方特有の病気で通常でも起こるが、サイクロン
後、蚊の繁殖地が増加していることから発病の増加が考えられるため、
予防と抑制の計画(媒介生物による病気の管理The Vector-Born
Disease Control:VBDC)が立てられている。この計画は被災地の26の街
区の90万以上の世帯を対象としている。蚊の幼虫駆除は2,3週間にわ
たって行われ、8週間後に再度行われる。これほど大規模な駆除はミャン
マーでは初めてのことである。ヤンゴン管区の11の街区の選定された所
では6月第3週目から開始される。大きな範囲で行うのには要員や輸送な
どいくつかの条件が必要なため、地方のコミュニティでは、水貯蔵コンテ
ナにふたをすることや適切なごみ処理を行うことなどの簡単な注意喚起が
行われている。
[はしか対策]
WHOは9ヶ月から10才までの子供達への予防接種のため保健省を支援
している。6.19現在で、10のキャンプにおいて7691人の子供達(うち5才
以下4174人)にワクチン接種を行った。
ラブッタでは小規模の発病が避難キャンプや隣接した村などで報告され
ているのでワクチン接種年齢を15才まで引き上げて行う必要がある。6.23
現在では、エヤラワディ管区とヤンゴン管区で23,000人以上の子供達に
ワクチン接種を行った。
[肺炎対策]
ミャンマーは肺炎患者の多い国のひとつであり、2007年には133,000人
の肺炎患者がいた。そのうち10%が肺炎とHIVの重感染者と推測されて
いた。サイクロン以来、ニャピドウー、ラブッタ、ボガーレで行方不明になっ
ていた162人の患者のうち126人(うち46人死亡、6.23現在)の情報を村
や避難キャンプでの熱心な住民参加によって得ることができた。
[ハンセン病対策]
行方不明になっていた患者の100%の消息をつかむことができている。
[水への対策]
水の品質と清潔な水を利用できる度合いは健康に一番直結する問題とし
て残っている。一日600万リットル以上の水を塩素消毒し、約200万人の
人々の需要に応えている。50の水浄化ユニットがミャンマーに送られ、そ
のうち10がデルタ地帯へ送られた。地元のスタッフはそのユニットを使え
るように訓練を受けている。デルタ地帯南部の村では生活用水として利用
していた池が海水によって汚染されてしまったので、雨水を集め浄化する
ことが優先される。
[心理的・精神衛生]
現時点では専門的なケアには格差が生じており、WHOと保健省は6つの
街区に精神衛生を扱う施設をおいて対応している。
Save the Childrenでは初期の適切な心理的支援を行うスタッフを訓練し
ている。
[その他]
ミャンマー赤十字社 水・食料・救援物資をこれまでに30万人以上、現
在も一日1万人以上に渡している。
国際赤十字社・赤新月社連盟 雨期の病気の増加に備えるキットなどを
ミャンマー赤十字社に配給。人材育成。
UNICEF ラブッタとボガーレの被災街区の5才以下の子と妊婦に
免疫記録カードを配っている。
[地域格差]
Bogale南東部、Mawlamwinegyun, Pyapon,Dedayeなどにはまだ十分な支
援が届いていない。
WHOはラブッタ、ボガーレ、ミャウンミャに現地事務所をおいて、地元医療
関係者と協力しながら地域に密着した支援を行っている。
国連、ASEAN(東南アジア諸国連合)、ミャンマー政府はナルギス後共同
調査(Post-Nargis Joint Assessment:PONJA)により、被害損失調査
(damage and loss assessment:DALA)とコミュニティ重視の村落地域調査
(village tract assessment:VTA)を行い、そのデータを被災者の健康に関
するニーズに効果的に応える支援につなげていく。
DALA:あらゆる分野・組織の20~30人からなる6つのチームが、政府の
制約なしに現地調査を行う。そのうちの1つのチームは健康・教育・住宅
に集中して調査した。
VTA:被災地のコミュニティの様々な人々(農民・漁師・看護士・ソーシャ
ルワーカーなどから得られた草の根の情報による調査である。128の村に
おいて10日間それぞれ10戸の世帯でインタビューを行った。特に健康に
関する5つの分野(病気の流行状況、薬の有効性、医療従事者の充足
度、健康管理に必要なもの、衛生状態)に集中して調査した。(以下、
6.26現在の調査結果)
・約7%の世帯で1人またはそれ以上の家族が亡くなっている。
・22%以上の世帯で、サイクロンによる心理的問題に苦しんでいる。
・人口の30.5%の人にとって雨水が飲料水の主な水源となっている。国際
的な援助によって設置された50の水浄化設備によって25万人以上の人
に毎日1人3リットルの清潔な水を供給している。
・サイクロン前に10.9%だった屋外での排便が、サイクロン後には24.8%と
二倍以上になっていた。このことは病気の発生の可能性が増えるという
重大な危険を表している。
・聞き取り調査したうちの22%に下痢、26.8%に発熱、26.3%に咳や風邪
の症状があった。
(PONJAの全報告書は7月18日に発表される予定である。)
ミャンマー・サクロン被災者支援ニュースNo.27
下記の「国境なき医師団」の調査レポートからは、物資や医療などの支援の不足
やその展望が見えないことから、被災者が自ら心的な傷を癒すきっかけを掴むこ
とも困難になっている状況が見えてきます。このような時に「あなたたちのこと
を見守っている」という世界の人々のメッセージを届けることは大きな意味を持
つのではないでしょうか。
<以下はCODE翻訳ボランティアさんからのものです。>
情報源:IRIN(国連統合地域情報ネットワーク) 2008.6.12 レポートより
抜粋要約
デルタ地帯で二週間調査してきたMedecins Sans Frontieres(国境なき医師団、
以下MSF)の心的外傷の専門家であるKaz de Jongは次のように語った。「風がま
た吹いてきて、今残っているものも全て吹き飛ばしてしまうのではないかと心配
している人がたくさんいた。悲嘆の限りにあるのにもかかわらず、人々はその感
情を抑えようとしていた。多くの生存者達は大災害の時の様子が、特に愛する人
の最後の姿が、取り付いてしまったかのように頭の中に甦っていた。多くの犠牲
者は35キロ内陸まで流れ込んできた高潮に押し流され、溺れてしまったのだった
。
また他の人達は不眠に悩まされ、動悸や高血圧に苦しんでいた。全ての兆候はス
トレスによるものである。」
子供を含む多くの生存者達は、内向的になっていて、将来に向かうエネルギーに
欠けていた。
「あなた方はみんな米のことを心配しているが、人間は食べるという意欲を必ず
持っているものだ。でも今この時点で私は生きている意味が無い。私は家族を全
て失ってしまったのだから。」とある老婦人は彼に言った。
絶望や落胆は大切なものを失う経験をした時に「普通に」おきることだが、生活
再建の能力の限界が重大な心理学的な問題の兆候を加えることはそうあることで
はなかった、とMSFは説明した。我々は人々が立ち直り、自分が生きていく価値
があると思えるように支えていく必要がある。そのためにMSFはコミュニティの
リーダーを特定し、ストレス管理の基本的な訓練をして、家族の中で自分だけが
生き残った子供や老人のような最も傷つきやすい人々の様子をみて不安を何とか
処理していくことを支援していく。村人達を瞑想に導いてくれるよう仏教の修行
僧に頼んだり、経験したことに対する感情を表に出すよう人々を励ましたり、亡
くなった家族のことを考えるのは一日のうちの決まった時間だけにしてその思い
出に異常なまでにこだわってくよくよ考え続けるのを防ぐように提案するするこ
となどがその支援の方法に含まれている。加えて、専門的な知識を持つ地元のカ
ウンセラーをデルタ地帯へ派遣している。
「アジアでは人々は感じていることについてオープンに話すことがないのが一般
的なので、人々は黙って苦しんでいる。我々はコミュニティとともに活動し、
人々を訓練し、心的外傷の兆候を捉えることができるように支援していく。」と
World Visionの報道官のJames Eastは言った。
家から追い立てられるようにして出てきた多くの生存者達は、1カ月以上たって
も地方都市の一時避難所で込み合った状態で暮らしており、水や蚊を原因とする
病気が発生すると多くの犠牲者が出ることになる。MSFはこの災害の前からミャ
ンマーで大規模に活動してきたので、被災地にすばやくたくさんの医療従事者を
派遣した。43の医療チームは、何万人もの嵐によるけが人を診察し、何例かの下
痢と重大な呼吸器感染症の症状に出会っていた。モンスーンの強い雨は、この地
域の飲料水の主な水源であるのだが、水を原因とする病気の危険性も高いので、
支援要員は、水を集めるためのゼリ-缶と一緒に石鹸と基本的な衛生設備も渡し
ている。