「社会に役立つ仕事がしたい…!」そんな人が増えてきた今日、NGO/NPOで働く、ということが注目され始めています。
でも、「NGOやNPOで働くイメージってしづらい…」KoNNecTはそんな学生の「?」を解消すべく、NGO、NPO職員のリアルな働き方、生活についてお話を聞いていきます。
今回お話をお聞きしたのは、被災地NGO恊働センター代表の頼政良太さんです。
被災地NGO恊働センター
被災地NGO恊働センター:http://ngo-kyodo.org/
<前編>では頼政さんの今の仕事に就くまでの経緯や具体的な仕事内容などについてお話を聞きました。<後編>では、『ぶっちゃけ食っていけるのか』など生活の面などのお話も聞いていきたいと思います。
人と出会い変わっていく
ーー頼政さんの今の仕事でのやりがいはなんですか?
頼政:人と出会うことかな。
僕の仕事では人との出会いがとても多いので。
しかも僕が出会うタイミングというのは、これから先人生が明るくなっていくのか、暗くなっていくのかという岐路に立っている人たちがいっぱいいるわけじゃないですか。
災害が起こって、それでたまたま僕と出会って、その出会いでその人の状況が少しでも良くなるのであればいいなと思っていて、そういう要素になれればハッピーだね。
ーーどういう時にいい方向に行ったなということを感じますか?
頼政:なんとなく表情が明るくなったとか、集会所によく顔を出すようになったとか、もう少しこういうことをやろうと思うんだけどという話をしてくれたとか、そういう時になんかいい感じになったと思うよね。
ーーやりがいというのは現地の人に会って、話していく中で少しでも明るくなった時に感じるんですね。
頼政:そうだね。
そういう時や、後は自分が考えていたプロジェクトが結構うまくいった時かな。
ーープロジェクトが結構うまくいった時というのはどういう時ですか?
頼政:例えば中越地震が起きた新潟に熊本の被災地の方を連れて行って勉強をしてもらうという企画を考えたとして、帰ってきた時に
「すごい。おれたちも頑張らないとな。」
って言ってくれた時にはやってよかったなって思うので、なんかそういうもの。
だから、僕がなにかをやったということではなくて、そこで出会いがあるんだよ。新潟の人と熊本の人が出会って化学反応を起こすみたいな。
自分が話していて人が変わっていくということもあるし、誰かと誰かをくっつけた時に人が変わったりする。そうやって、どんどん人が変わっていくさまがみれるので、そこが楽しみかな。
後は、僕よりもずいぶん年上の人とかいろいろな人と接していく中で、色んな価値観の人がいて、そういう価値観に出会った時に自分自身も成長させてもらえるんだよね。
僕が誰かを変えてやろうとかじゃなくて、お互いに変わっていけるところがすごくいい。やりがいかな。
ーー逆にしんどい時とかはありますか?
頼政:しんどい時…寝不足の時かな。
ーーそれはだれでもしんどいですよ(笑)
もっと今の職業特有なものはありますか?
頼政:災害直後はとても忙しいんだよ!
夜は遅くて、朝は早い。それで夜帰ってきたら報告書を書かなくてはいけないし、そういう時には体力的にしんどいんだよね。
ーーなるほど。そういうことですか。
頼政:災害の直後はとても大事なんだよね。
どういった方向性で進んでいくかということをしっかり考えなくてはいけない。だから、考えるのも大変だし、体力も使う。でも体力を使っているから、考えるのがうまくいかない時もある。
ーー災害直後…大変なんですね。
頼政:それに災害直後って結構感情的になってしまうんだよね。みんな感情が高ぶっているから。そういう時にいかに自分の感情を抑えていくか。
凄い大変な話ばかりを聞くので、ボランティアの中には大変な話を聞き過ぎて自分もつらくなっちゃう人もいて、そうならないように客観視していくことも必要なので、そういうこともしんどいなと思うことはあるよ。
それと、活動している中で被災地の人たちは大変なのにこちら側が打つ手を何も考えられなくて、次に何をしたらいいのかわからない時はすごいしんどいね。
大変な状況の話を聞いてこういうことをしたらなんとかできるかもしれないというのがある時は良いんだけど、やべぇーなんもできねーっていう時はすごくしんどいかな。
「不安だ」と言う前にやってみる
ーーこういう世界に興味のある人は給与面や福利厚生などで二の足を踏んでしまうと思うんですが、その辺はどうですか?
頼政:あんまりよくはないね。福利厚生もよくないし、給料も高いわけではないので、そういった部分では普通の会社よりは大変かな。
でも市場で言うと、今のNPO市場は割と開拓されていない部分で、今から先駆者になれる面もある。
もしも給料が低いことを何とかしたいと思うのであれば、そこを改善するよう頑張るというやり方もあるので、自分がNPOを変えていこうという気持ちで取り組めばいいんじゃないかな。
ーーそう思える人であるならば、やっていける世界なのではないかと。
頼政:別に収入の面も1つだけじゃなくてもいいしね。
NPOで働きながら自分のNPOを立ち上げることもできるし、NPOと社会的起業を組み合わせたりもできるし、やりようによっては色々出来るんじゃないかな。
会社に入って福利厚生があって働くというような働き方が変わっていくような時代になってきていると思うので、NPOのようなソーシャルセクターに行くのであれば働き方自体から変えていくという気持ちで、「不安だ不安だ」というよりはやってみたらいいじゃないかなと思うけどな。
ーー頼政さん自身もそのように考えているんですか?
頼政:うん、その辺も含めて成長させていけばいいのかなと。
これから入ってくる人が作っていく分野なので、待ってても難しいかもね。まだだって、NPO出来てから20年だからね、これからだと思うよ。
ーー突然なんですが、今幸せですか?
頼政:幸せだよ。それに幸せを感じた方がいい仕事が出来ると思う。
ーーどういう時に幸せを感じますか?
頼政:楽しく生きている時かな。
それには色んな楽しさがあるじゃん。
友達と会ってる時に楽しいとか、家でゲームをしてる時に楽しいとか、この仕事楽しいなみたいなことがあったり、子どもが生まれて楽しいとか、僕のような仕事は人生が豊かになっていくと思っていて、色んな価値観も増えていくし、知り合いも増えて、子どもが生まれたら熊本の人がお祝いをくれたりして、それってすごい幸せじゃん。
そういうお金だけではない、豊かさを感じられた時に幸せだなと感じるかな。
ーーお金だけではない豊かさかぁ。
今後の人生でこうしていきたいというものはありますか?
頼政:僕はあんまり頑張るのが好きではないので、120%の力を出し切るとか好きではなくて、できたら8割くらいの力でずっとやっていきたいな。どうやったら8割くらいの力でうまく稼げて楽しめるかなというのは最近考えていて、楽しい人生が送りたいよね。
そういう意味ではこの業界では珍しいかもしれないけれど、あんまり使命感とかがないのかもしれない。
出来れば先もみてやりたいけれど、自分の人生設計で言うとあんまり決めつけたらつまらなくなるので、なるようになるかみたいな部分はあるかな。
あんまり決めすぎても、NPOの人とかで「レールから外れる」ってよく言われるけど、レールから外れてもまたそこにレールを敷いたら一緒じゃんということは思うので、あんまり決めなくてもいいかなと思ってるよ。
そういうことを言うと家族には不安がられるけど(笑)。少しは考えてるけどね。
夢は森で生きるっていうことかな。森の中で自然と共に生きるみたいなことが夢なので、漠然とそういうものに向かいながら、仕事のやり方も自然とその時々で変えていってもいいのかな。
ーー大学で今の団体に入ると決断した時の自分に一言かけるとしたらなんて声をかけますか?
頼政:よかったよ、いいよって、言うかな。
今となっては、一般企業は無理だったかなと思う。
毎日スーツで同じ場所で上司に怒られるんでしょ、そんなのいやだよ。
ーーNGO/NPOの世界を目指す若者に何か一言お願いしてもいいですか?
頼政:「楽しいよ!おいで おいで!」かな。
若い人が少ないから来てほしいんだよね。おっさんばっかじゃまんつないよ。
編集後記
「待ってても難しいかもね。」という言葉がとても心に残りました。
NGO/NPOを就職先として選ぶことが難しい理由として、収入や環境への“不安”が大きいのではないかと思います。
しかし、頼政さんが話されていたように誰かにやってもらうのではなく自分がこう変えてやるという想いをもって一先ず飛び込んでみるということが大切なんだと感じました。
第一回ということで、まだまだ至らない部分だらけですがここまで読んでくださった読者の方、インタビューを受けてくださった頼政さん本当にありがとうございます。
次回以降も頑張って更新していきますので、よろしくお願いします!
また、今回の記事を見て自分もこの活動に参加したい!
という思いを持った方はぜひ共に活動しましょう!
ジャンルは問いません、お待ちしております。
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