イタリア中部地震支援ニュース8

 現地からのレポートで、実は阪神・淡路大震災以後の日本における耐震の研究部門に、イタリアの研究部門が大きく協力していたことが分かりました。イタリア北部のトレンティーにある「イタリア国立樹木・木材研究所(CNR IVALSA)」と「独立行政法人 防災科学技術研究所」が共同で、2006年7月10日筑波の同研究所で「壁で支えるヨーロッパの新型木造建物-新壁式木造建物の公開加震実験-」を行っていたのです。
 このことが、今回ラクエラの被災地では話題になっており、「日本でイタリアの研究者と耐震実験がされたんですね!」と聞かれるそうです。 尾澤がヒアリングをしていても、建物の被害について被災者が口にするのは、「政府は耐震を強化しなければならないことは判っていたのに、何も対策をしなかった」ということがでるそうです。
 一方、彼は能登半島地震で学んだように築400年の寺がほとんど壊れなかったり、築150年の伝統家屋が無傷であったりという住まいの文化の奥深さ、このイタリアの地でも感じているようです。300年前や900年前に建設された建造物がビクともしていないという光景を見て、イタリアと能登が重なってくるとのこです。
 先の新壁式木造建物加震実験は、その後兵庫県三木市のE-ディフエンスでも行われました。何故それを覚えているかというと、確か日本で公開で木造建築の事物大加震実験をされたのは、このイタリアと日本の両研究所が共同したのが最初だったと思います。実験後の新聞記事を拝見し、「あっ、木造の中層建物が壊れてない!」と感激したからです。
 でも、正直この時の木造は”木材合板”だったことと、(もちろんそのための実験だから仕方がないのですが)窓以外は全部木材合板というイメージだったので、本来の日本の伝統木造構法で建てたものではないということで、私の関心からは遠のいて行ったのです。遠のいた理由のもう一つは、その後しばらくして本格日本伝統木造建築物の加震実験が同じ三木で行われ見ることができ、この実験の結果ほとんど無傷だったことを覚えているからです。
いづれにしろ、今回の地震でイタリアの被災地でも耐震のことは改めて話題として浮上していることは事実で、イタリアは海外支援を断っているが過去にこうして耐震に関する共同での実験をされただけに、あらためて日本の研究機関とイタリアの研究機関が共同で本格的な耐震普及に動かれたらと切に願うところです。
(事務局 村井)