現地で支援活動を続けているジョグジャカルタ在住のアーティスト、アラフマイアニさんから、彼女たちのグループの活動や被災者の様子についてレポートが届きましたので紹介します。
ムラピ山の災害について、もう日本ではほとんど報道されていませんが、火山災害の復興には長い時間がかかります。
いま被災者は一生懸命、生活の立て直しに取り組んでいます。
CODEは彼女たちのグループの活動をバックアップすることで、被災者を支援していきます。引き続きご支援よろしくお願い致します。
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●アラフマイアニさんからのレポート
こちらの状況はかなり不安定です。しかし、人々はできる限り、自分自身で立ち上がろうとしています。仮設住宅は1月初旬には完成するでしょう。もっとも、私たちの活動しているコミュニティのメンバー全員に当たるかどうかは定かではありません。
支援しているコミュニティの人たちは、倒壊した村までの道を片付け、私たちはそれを手伝いました。その後、既に旅行者がやって来ましたので、彼らはいくらか収入を得ることができました。そのお金は、政府にもいくらか渡さなければいけません。最初、政府はその収入の50%を要求したので、たいへん驚きました。結局、長い交渉の末、5%にとどまりました。
私たちのグループは、水源までの道も片付けました。パイプは全て壊れたり溶けたりしていましたが、幸い水源はまだ生きていました!早期警報システムに利用できるコミュニティラジオにも、私たちはいま注力しています。さらに、住宅再建のイメージを地図上に表そうという取り組みも行っています。この村には216の家族が住んでいます。政府の復興計画がまだ明確ではありませんが、もちろん少しずつやっていかなくてはなりません。ともあれ、ひとつ明確なことは、村人たちはもとの村に帰ることができました。つまり移住する必要はないということです。これは、村人にとって大きな安心となっています。
また進捗があればお伝えします。
アラフマイアニ
【インドネシア・ムラピ火山噴火】現地パートナーからの情報No.7
今回は、インドネシア・ムラピ火山災害の被災地ジョグジャカルタに住む建築家、エコ・プラウォトさんからの報告です。
CODEはエコさんと、2008年5月のジャワ島中部地震以来恊働してきました。
ムラピ火山の災害を受けて、エコさんは、自身が長年支援してきた「バンブー・ハウス」のコミュニティの住宅再建支援も始めたそうです。
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ムラピ山の噴火がほぼ終わった後、別の「問題」が生じています。
それは、洪水です。流れてきた土砂で川の水位がとても浅くなったので、雨が降ると川が溢れます。そもそも市内では、雨季には低地がよく浸水します。
川の水が砂を運んでくるため、洪水が引いた後は土地一帯が砂で覆われてしまいま
す。1m以上も砂が積もるところもあります。私たちが支援しているある地域では、こうしたことが原因で家がいくつか壊れました。天気予報によれば、雨季は2011年の3月までです。
私たちも、コミュニティの人たちが家を再建するのをどうやって支援するかを考えています。私は、ジョグジャカルタ市内を流れるチョデ川(Code River)岸のコミュニティと長年恊働してきました(※)。1986年、このコミュニティがバンブーハウス(竹の家)を建てるのを手伝ったのが始まりです。徐々に彼らは自ら家を改善し、ブロックなどでより長持ちするように補強しました。しかしいま、より安全性を高めるために、再建の必要がある家も見られます。
現時点では、既存の壁の上部に乗せて建てることのできる、簡単な木造の家を考えて
います。つまり、柱の上に家が乗っかっているようなものをイメージしていただければいいと思います。これで、水位が上がれば2階にとどまることができるのです。
エコ・プラウォト
(※)エコさんが師事していた建築の専門家、ロモマングンさんという方が、チョデ川沿いのスラム開発に取り組み、自然と共合した美しいバンブー(竹)ハウスの町をつくりあげました。エコさんは当時からずっとこのコミュニティに関わっています。これについては、CODEジャワ中部地震第二次調査団レポートNo.4 でもご紹介しています→http://code-java.seesaa.net/archives/20060805-1.html
【インドネシア・ムラピ火山災害】救援活動の立ち上げについて
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■■【インドネシア・ムラピ火山災害】救援活動を立ち上げます■■
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本MLで現地からの声をお伝えしておりますが、10月26日にインドネシア共和国・ジャワ島中部のムラピ火山が噴火しました。
既に噴火自体は沈静化し、日本のマスコミもこの災害についての報道をほとんど行わなくなりましたが、被災者の多くは生活再建の目途が立っておらず、未だ支援を必要としています。
そこでCODEは、この災害に対して救援プロジェクトを立ち上げ、支援を開始することと致しました。
この火山の被災地は2006年5月のジャワ島中部地震の被災地でもあります。当時から支援活動でCODEが恊働している建築家・アーティストのエコ・プラウォト(Eko Prawoto)さんや、エコさんを通して知り合ったアーティストのアラフマイアニ・フェイサル(Arahmaiani Feisal)さんと連絡をとって、事務局は情報収集にあたってきました。
レポートでもお伝えしておりますように、上述のアラフマイアニさんたちのグループが懸命に被災者の支援活動を継続しておられます。CODEは彼女たちのグループの支援活動をバックアップしてまいります。噴火から時間が経過し、タイミングを逸してしまいましたが、長い復興の過程に目を向け続けることが大切だとCODEは考えます。
皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い致します。
※なお、今回の救援活動は、CODEの前進である救援委員会当時から数えて、48回目となります。
【インドネシア・ムラピ火山噴火】関連情報
先日のレポートでもお伝えしたように、ジョグジャカルタのパートナーであるアーティスト、Aさんの支援グループでは、ムラピ火山災害の被災者が生活を再建するための家畜(ウサギ)飼育を始めようとしています。
この地の人々の暮らしにおける家畜の重要性については、11月16日のIOM(国際移住機関)のレポートでも述べられていました。
IOMは、救援物資を配布するなどの緊急支援を行っていますが、その中に、避難する人たちの家畜を避難させるという活動もありました。
その箇所を抜粋してご紹介します。
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IOMは、ジョグジャカルタ及びBoyolali県の危険度の高い地域から、ジョグジャ南西のクロンプロゴ県へと、家畜54頭をトラックで避難させました。これは州政府の畜産・家畜保健局との連携で行われました。
IOMジョグジャカルタのJohan Grundberg氏はこう言います。
「多くの人間が危険にさらされている状況で、家畜を避難させるというのは奇妙に聞こえるかもしれませんが、2つの点で重要なのです。まず、そうしなければ、避難指示の出ている20km圏内の人たちは、家畜の世話をしようとおそらくそこに留まっていたことでしょう。また、家畜がいれば、噴火が終わって家に帰ったときすぐに、飼い主は生計を立てることができます。」
原文: http://www.iom.int/jahia/Jahia/media/press-briefing-notes/pbnAS/cache/offonce/lang/en?entryId=28651
【インドネシア・ムラピ火山噴火】現地パートナーからの情報6
304名が犠牲になったインドネシア・ジャワ島のムラピ火山災害。
噴火は沈静化し、最大時に40万人となった避難者の半数近くは
もと住んでいた場所に戻りました。
しかし、家や生計手段を失った人たちの生活再建が課題となっています。
ジョグジャカルタ在住のアーティスト、Aさんからのレポートには、
そんな困難の中でもたくましく生きようとする被災者の姿が描かれています。
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私たちは、支援している村の方々と話し合い、問題点や解決方法、関心事などについて共有を始めました。新しい生活について考えるためです。悲しくなるときもありますが、皆とても熱心で、楽観的でユーモアがあり、そのことに私は本当に感動しました。彼らはとても強い人たちだと思います。すべてを失ってもなお、前向きなエネルギーで将来に希望をもっています。
いまはまず、道や家の残骸を片付けようとしています。また、養鶏場の代わりに、より経済的なウサギ飼育場の設立に取り組み始めました。これが今後の生計手段となります。その管理は、新しい「共同型」のシステムで始めようと思っています。避難している人たちが仮設住宅に移れれば、具体的に実施できると思います。
また、私たちの別のグループは、専門家と一緒に、降灰の影響を調査しています。どんな植物を植えれば土地を維持することが可能かを調べています。
水も大きな問題です。いま私たちが支援している人たちの村では、すべての水源がだめになったからです。ですから村に帰る許可が出たら、新しい水源を探さなくてはなりません。
とにかく、村人全員が、計画にもとづいて自ら活動に取り組んでいます。私たち支援者は彼らをサポートし、違う視点から意見を言ったりしています。
【インドネシア・ムラピ火山噴火】現地パートナーからの情報5
インドネシア・ジャワ島のムラピ火山の災害による死者は、これまでに304人となりました(Jakarta Post、11月21日)。避難者は最大時で40万人に上り、火砕流や溶岩により家や家畜を失った人もたくさんいます。政府は避難者向けの仮設住宅300 軒の建設を始めました。これは、より火口近くに住んでいた人から優先的に提供されますが、ゆくゆく3000~5000軒を建てる計画です(同、11月22 日)。
噴火活動はしだいに沈静化し、避難場所から自宅に戻る人が増えているようですが、「いつもとは違う」火山の様子に、まだ安心できない状況が続いています。
ジョグジャカルタのAさんからの報告をご紹介します。
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11月19日
いま、状況が少し落ち着いてきて、多くの人たちが家に帰りつつあります。
人々は先が見えないキャンプ生活よりも、壊れた家のほうがいくらか良いと感じるのでしょう。だから、いまPrambananというキャンプからは31人の子どもたちが、Muntilanでも17人の子どもたちが、既に自分の村に帰っていきました。
ただ、こうなると、食べ物や水もありませんので、各々の村に物資を届けねばならず、複雑になります。また、子どもたちは今、1メートルもの高さの火山灰にまみれた廃墟に住んでいます。ですから呼吸器系の問題が出始めており、病院に行かなければならない人もいます。
支援活動をしている人たちは、ただこうした避難者のケアをしたり、食事を提供したり、余興を提供したりすること以外、次に何をしたらいいかわからない状況です。
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11月23日
冷えた溶岩が洪水となって、Magelangエリアを襲っています。
少なくとも数千平方メートルの農地が、1~2メートルもの深さの溶岩と大きな岩石に埋もれています。自分達の村に帰ろうと決心した人々の多くが避難キャンプへと引き返さなくてはならず、また、多数の人々が傷つき入院を必要としています。
これは次の災害の始まりにすぎません。雨がたくさん降っているので、冷えた溶岩の洪水がきっとまた起こり、ムラピ山の周りの地域を襲うでしょう。本当に恐ろしいことです。
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人々がキャンプサイトから自分の村に戻り始めたことで、支援の対象地が分散することになります。しかし、そのような隙間ができても、なお一人ひとりの被災者にマンツーマンの対応をしようと取り組んでいるグループもあります。
CODEは引き続き情報収集を続けていきます。
【インドネシア・ムラピ火山噴火】現地パートナーからの情報4
既に報じられていますが、インドネシア・ジャワ島中部のムラピ山の噴火で、
死者は191人、避難者は34万人以上に上っています。
火口から20km以内の地域には依然避難指示が出されており、
10月26日の噴火以来、避難しておられる方々の健康面も懸念されます。
ジョグジャカルタのアーティスト、Aさんからのメールを紹介します。
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9日、ジョグジャでマグニチュード5.6の地震がありました。特に被害は無く何も起きませんでしたが、住民は次に何が起こるかわからず、心理的な怖さが増してしまったのではないかと思っています。
まだ大規模な噴火が起こり得ますし、冷えた溶岩流がいつ襲ってくるかわかりません。川を塞いでいる砂や火山からの噴出物質を片付けなくてはなりません。川を片付けておけば、もし冷えた溶岩が洪水を引き起こしても、川を流れていきますから。
しかし、これまで何も為されていません。
避難者の数はずっと多くなり、30万人を超えています。キャンプはとても混雑していて、衛生状態があまり良くありません。水の供給も問題が多く、その他の物資の供給についても同様です。多くの人が呼吸器系の症状やストレスに苦しんでいます。全てを失ったことを理由に、少なくとも二人が自殺しました。多くの方が心理的に大きな
題を抱え、治療を受けています。キャンプサイトはとても広く、救援チームが患者を見つけるのは困難です。避難者はもっと増えると予想されています。
【西スマトラ州津波・ジャワ島火山】"Reliefweb"記事のご紹介
CODEボランティアのKさんが、UNOCHAのウェブサイト「Reliefweb」からインドネシア・ムラピ山の噴火およびムンタワイ諸島の地震・津波に関する英文の記事を訳して下さいましたので、「CODE World Voice」のページにアップしました。
リンク→ http://codeworldvoice.seesaa.net/article/168832256.html
犠牲者が出たことは本当に悲しいことですが、ムンタワイ諸島では学校での防災訓練が生きたというエピソードが書かれており、日頃の備えの大切さが窺えます。
※今回アップしたのは11月4日の記事ですので、本文内の数字は変わっていますがご容赦下さい。ご参考までに最新の情報を添えておきます。
●ムラピ山噴火(最初の噴火は10月26日)
・死者156人以上(CNN、11月9日)
・避難者29万人(共同通信、11月9日)
・10月26日に起きた最初の噴火の後にも数度の噴火があり、死者の68%は11月4日~5日の噴火によるものと見られている。(USAID(米国国際開発庁)、11月8日)
●ムンタワイ諸島地震・津波(10月25日)
・死者447人
・負傷者173人
・行方不明者56人
(いずれもUSAID、11月8日)
【インドネシア・ムラピ火山噴火】現地パートナーからの情報No.3
前回のニュースに引き続き、Kさんからのメールをご紹介します。
Kさんは、CODEがジョグジャカルタのプロジェクトの際に、通訳などの面でお世話になっている方で、ジョグジャカルタ特別州内の南部、火山からは50km以上離れたバントゥール県というところにお住まいです。
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日本人避難の件ですが、15キロ地点以内に住んでいたため少なくとも3家族がジョグ
ジャ市内に避難しています。20キロ地点ぎりぎりに住む日本人家族は今日か明日には
ジョグジャ市内南部のホテルに避難する予定であるということでした。
ジョグジャとは反対方向のボロブドゥール付近(ムンティラン)にも日本人が少なくとも2家族いらっしゃいます。メラピ山から30キロ地点とは言えども、雨季に発生するモンスーン風の影響で、灰のほとんどがボロブドゥール方向に飛んで行ってる状況です。噴火当初から灰が降り始め、今では毎日2センチも積もるという話です。昨日(4日)から停電しており、情報が途絶えている模様。電話は使えるということだったので、数時間毎に電話で状況報告しています。ジョグジャ市内よりも降水量が多いため、排水溝などに灰が詰まって引き起こされるであろう洪水を一番気にしていました。周辺では木々が次々倒れているようです、枝、葉っぱに灰が積もり、砂を含んだ雨で重さが増し、古い木・新しい木問わず倒れており、バキバキと倒れる音が怖いだけでなく、それによって電柱も一緒に倒れてしまったり、公道が塞がれているのが次なる問題のようです。この方々も2~3日様子を見て、電気が復興しないようだったら避難を考える、ということでした。
つい先ほどテレビの電話インタビューで、ムンティランに集団避難している地域住民は「灰の蔓延と停電と水不足のため自力ではもう無理、応援を頼む」とSOSがありました。このムンティランというのはボロブドゥールの手前にある小さな町ですが、風の影響で灰が蔓延しており、昨日の段階で視界10メートルと報告されている地域です。
今回の噴火で火砕流が流れたのはメラピ南部でカリゲンドルという川。この川の15キロ地点にある村が灰と化してしまったわけですが、メラピ山から15キロ地点のすべての地域が火砕流に覆われたわけではありません。この後豪雨によって土石流となって倒れた木々などが川を下ってきてます。そのためジョグジャ市内中心を流れるチョデ川付近に昨晩から洪水警報が出されています。ロモマングンが建てたバンブーハウス(※)の地域も含まれます。土石流とは別に、噴火で発生した灰(頂上より9キロまで達したそうです)はモンスーンの風に乗ってジョグジャ市内とは反対方向の、北西の方向に流れているようです。昨晩の噴火の灰は遠く離れた西ジャワのバンドゥンまで届いたそうです。
というわけで、メラピの南部は火砕流、土石流、洪水の危険、メラピの北西部は火山灰の危険があるということです。この火山灰にはガラス質鉄分等が含まれており、気管支炎、尿道炎を引き起こす危険があるとの事。まだ他にもいろいろあるでしょうが、私がテレビやSNSから得た情報は現在この程度です。
ここ我が家もメラピ山から約30キロ地点ですが、風向きの関係か、一日に1ミリほどしか積もりません…とは言えども箒ではいても水ぶきしても気づけば薄っすらと積もってます。先ほどスーパーに買い物に行ってきましたが、野菜がほとんど無く、あっても通常より3~5倍ほど値上がりしていました。ジョグジャ市内の南部にあるスーパーですが、半分のお客はマスク着用、異様な雰囲気です。
(※)ロモマングンが建てたバンブーハウス……
ロモマングンさんは建築の専門家で、ジョグジャカルタにあるチョデ川沿いのスラム開発に取り組み、自然と共合した美しいバンブー(竹)ハウスの町をつくりあげました。(CODEジャワ中部地震第二次調査団レポートNo.4でもご紹介しています
http://code-java.seesaa.net/index-3.html)
【西スマトラ州津波・ジャワ島火山】現地パートナーからの情報2
インドネシア中部のムラピ火山の噴火による被害が拡大しており、政府が避難指示を出している範囲も広がっています。初めは火口から10km以内の地域でしたが、15km以内に広がり、現在では20km以内に住む方々が避難しなければなりません。
CODEがジョグジャカルタのプロジェクトの際に、通訳などの面でお世話になっているKさんが詳しい状況を連絡して下さいました。Kさんはジョグジャカルタ特別州内の南部、火山からは50km以上離れたバントゥール県というところにお住まいです。
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こちらジョグジャでは灰に包まれております。
11月3日の噴火でまた死者が増えてしまいました。
死者の中には、ジョグジャで有名なメラピ火山預言者(予知者)マリジャンも含まれています。
テレビで見る画像はこの世のものとは思えないほど殺風景な景色。じわじわ押し寄せる自然の脅威を感じます。
家でも灰が薄く積もっています。
数日前から外で洗濯物が干せなくなったという程度ですが、バントゥールでさえそのような状況、ジョグジャ市内はもっと灰に包まれており、避難民もジョグジャ市内まで押し寄せています。
ただいまメラピ山頂から20キロまで危険範囲が広がり、ジョグジャ北部が含まれるため、現地の日本人も避難を考えている状況だそうです。ある家庭では停電もしているらしい。私の家も、噴火し始めてから3回も停電しました。今又曇りがちになってきています、ということはおそらく灰が多く飛んでいるのでしょう。出来るだけ外出を避け、窓とドアを締め切って生活しています。
刻々と数字が変わるので断言できませんが、今のところテレビで公表されている合計死者数は74名です(メトロテレビ)。この74名という数字は、昨晩の噴火で発見された遺体を含んだ数字ですが、地域全体が火山灰に覆われており、二次災害で火災も発生しております。風向きにより避難しつつのレスキュー作業のため、そして火災や熱を帯びた灰のために立ち入れない地域もあるため、作業は難しい模様。噴火時は、ジョグジャ市内の病院に10分おきに救急車が到着していましたが、今日昼は遺体の移送、そして新たに避難所に駆けつける地域住民の移送が中心だったようです。
今回火砕流の熱風を受けて灰と化してしまった村はムラピ山から約15キロの地点にある村。今まで避難勧告が出ていたラインが15キロだったため、夜中の突然の噴火のため逃げ遅れによる災難だったようです。テレビでは地域まで公表されていませんが、灰が鉄分を帯びているため電線を通っている電気とショートしないようわざと停電させている地域も多いとのこと。そのため家で待機している住民はテレビ・ラジオ等から発せられる情報が無く、避難勧告・レスキュー隊との接触も難しい状況。17キロ地点にある避難所では停電、水不足、灰の蔓延のため地域の援助部隊では手に終えないという報告がテレビ局に直接寄せられていました。この避難所は木に覆われた谷間にある小学校で、道も倒れた木で閉ざされ自力で他の避難所に向かうことが出来ないらしいです。このような孤立してしまった避難所は他にもまだあるようです。
しかも現在危険地域(避難必要地域)が20キロと広範囲になったため、これからのレスキュー作業に混乱をきたす可能性があります。メラピ山から20キロ地点に開設された避難所(サッカー場)でも避難民が殺到しており、こちらの収拾もうまくついていない模様。食料は大量に寄せられるのに、タオル、石鹸、子供用ミルクがかなり不足しているようです。この避難所はジョグジャ市内北部にあるため、個人から寄せられる支援物資も多く、テレビインタビューで「朝から何も食べていない」という1避難民の言葉に大量の食料が集まってしまったものだと思います、この私もこのテレビインタビューを見て、個人の食料支援を考えてた矢先でした、現在は状況が落ち着くまで政府の援助体制を見守ってから行動を起こそうと思ってます。
避難所にたくさんの医者も駆けつけましたが、実際やけどをしている避難者はすでに病院に運ばれており、避難所にいる避難民はストレスなどによる嘔吐、精神的不安からくる不眠という症状が多いとの事。なんせメラピ山でこんなに被害の出た噴火は100年以来ということで、いろんな面でのコーディネートがうまく行ってないのが浮き彫りになってます。