新聞で読まれた方もいらっしゃると思いますが、ハイチの復興支援におけるある取り組みをご紹介します。
4月27日の朝日新聞に、医療NGOのAMDA(岡山市)が、ハイチ国境に近いドミニカの街に義肢支援センターを立ち上げるという記事が掲載されました。
(関連ページ:http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001004270001)
この施設のセンター長として赴任されるのは、義肢装具士の29歳の日本人男性です。この方はJICAの青年海外協力隊の隊員として、ドミニカで活動された経験があるそうです。ハイチ政府によると、この地震で手足を失った人は4000人と言われており、同センターでは今後2年間で300人に義肢を提供される予定です。手足を失った人々は、命を取りとめたことは幸いと思いながらも、精神的なショックを受け止めきれないことがあります。身体が不自由になりそれまでの仕事ができなくなるなど、生計にも影響を与えます。義肢には、そのような人々を精神的にも、身体的にもサポートする役割が期待されます。
さて、この取り組みでもう一つ期待されることは、現地の技術者の育成です。義肢作りの技術を現地のスタッフが習得すれば、これは職業訓練としてもたいへん意味のあることだと思います。2年のプロジェクトが終わった後も、彼らはその技術によって生計を立てられるでしょう。ハイチは震災の前から経済的な困難を抱えており、仕事が無い、失業者が多いという問題がありました。今後の復興、生活の再建という面に目を向けると、人々が生計を立てるための「仕事」は欠かせない課題です。義肢作りのように、被災地のニーズに被災者自身が対応していくなかで、それが職業能力の開発につながったり、さらに仕事の創出になれば、ハイチの復興にとって大きな力になるのではないでしょうか。
「仕事」のエピソードについては、CODEメキシコ人スタッフのクワゥテモックさんも、WFP(国連世界食糧計画)の「フード&キャッシュ・フォー・ワーク」の様子を伝えてくれました。緊急の食糧配布の段階から、仕事と食糧をからめて農業の復興やマーケットの活性化なども含めた長期的な支援を始めているようです。
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<クワゥテモックさんのメールより>
WFPはコミュニティ対象に、「フード&キャッシュ・フォー・ワーク」(労働の対価としての食糧と現金)というプログラムを行っています。コミュニティの人々は、井戸掘りや、洪水防止の溝掘りなど、そのコミュニティが必要とする作業を仕事として行うことができます。労働の対価として、60%は食糧で、40%は現金で受け取ります。
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CODEも、耐震のモデルシェルターの建設を通して現地の方々に技術を学んでもらい、また、そのシェルターを職業訓練施設として利用してもらうといったプロジェクトを考えています。
働くことの報酬はお金を得ることだけではありません。仕事を通して得られる生きがいや自信、自尊心については、被災者に限らず、私たちがふだん身近に感じていることでもあるでしょう。
ハイチ地震レポート No.42
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