月別アーカイブ: 2013年12月

【チリ-高知 被災地交流レポート No.2】

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チリ-高知 被災地交流レポート No.2
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「犠牲者ゼロの町、黒潮町」
 2010年のチリ地震・津波後から今も被災地で活動を続けているNGO、ICA(文化
事業協会)チリの代表理事のイザベルさんと南海トラフ巨大地震で大きな被害が
懸念されている高知県を訪れた。
 最大34mの津波が想定されている黒潮町では、住民の中に2つの「あきらめ」は
あると職員Tさんは言う。「避難することをあきらめる」、「町をあきらめる」という「あき
らめムード」を払しょくしようと大西町長を筆頭に職員一丸となって「犠牲者ゼロ」を
目標に、津波避難タワーや避難路整備などの防災対策が急ピッチに進んでいる。
黒潮町は、人口約12500人(約4600世帯)で65歳以上の高齢者の割合は37%に
上り、津波の被害想定では、住民の8割が浸水地域に住んでいるとされる。
 「戸別避難カルテ」では、全4800世帯を283の班に分け、より小さな地域で各世
帯に合った避難を考えるワークショップを行っている。地域の最小単位で避難の課
題を落とし込む事で「犠牲者ゼロ」の実現可能性を高めようとしている。これまでに
156か所で訓練やワークショップを行い、4634人が参加している。
 
 また、34mの津波をもじって「34ブランド」の缶詰の工場も建設し、「毎日食べたい
非常食」の開発も行っている。地域の雇用創出を兼ね備える事で息の長い防災対
策を試みている。
 これらの取り組みを知ったチリのイザベルさんは、チリ地震の際に政府の情報が
住民に正確に伝わらなかった事から戸別避難カルテなど行政から住民への情報
伝達に非常に興味を持たれていた。また、地震・津波の多いチリでは、住民が
培ってきた経験や文化が情報伝達においても重要な意味を持つとも語っていた。
黒潮町の缶詰を見たイザベルさんは、「チリでも震災後に仕事を失くした漁師や女
性たちがいる」と、震災前から雇用創出を行っている事に感動していた。イザベル
さんは、「この黒潮町で見聞きしたものをチリに持ち帰り、復興やその後の防災に
役立てたい」と語っていた。
 そして案内していただいた黒潮町のTさんも「イザベルさんが高知で学んだ事を
良き未来につなげてほしい。このご縁を大事にしたい」と語ってくれた。災害を通じ
て国を超えて人と人がつながっていく事の意味深さをあらためて感じた。
(吉椿雅道)

【チリ-高知 被災地交流レポート No.1】

2010年に発生したチリ地震の救援プロジェクトとして、CODEはチリのNGOの方
を招聘し、南海トラフ巨大地震の懸念されている高知県を訪問し、交流させてい
ただきました。地球の反対側であってもチリと日本はつながっている、だからこそ
学び合い、支え合わなくてはいけない事を感じさせる交流でした。
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チリ-高知 被災地交流レポート No.1
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「チリと日本は太平洋でつながっている!」
 2010年にチリ沖で発生したM8.8の地震・津波では約700人の命が犠牲となっ
た。チリで発生した津波は、地球の反対側である日本の高知県須崎港にまで到
達し、1.28mの津波が発生している。過去を振り返れば、1960年の史上最大規
模のチリ地震(M9.5)による津波は、22時間後に日本に到達し、最大6.1mの津
波が岩手県の三陸地方に被害をもたらした。2004年のインドネシア・スマトラ沖
で発生した地震(M9.1)によって発生した津波は、タイ、ミャンマー、インド、スリラ
ンカなど13か国で約22万人の犠牲者を出した。近年大規模化する自然災害は
その国だけの問題ではすまなくなってきている。
 2010年のチリ地震津波後に被災地で活動するNGO、ICA(文化事業協会)チ
リの代表理事であるイザベル(Isabel de La Maza)さんを日本にお呼びし、南海ト
ラフ巨大地震の懸念されている高知県を訪問し、地元の方々と交流させていた
だいた。
 南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大死者数32万人という想定が昨年か
ら国によって発表されている。高知県では、黒潮町で34mの最大の津波が発生
し、県内で死者4万2000人(津波による死者は、3万6000人)と想定されている。
 高知県四万十町の興津(おきつ)という地区(人口1100人、500世帯)では、大
総代さんの強力なリーダーシップのもと、先進的に防災対策が進められている。
 デイサービスセンターと保育所の2か所はすでに高台に移転しており、ヘリポー
ト、避難タワー、避難広場、避難路などのハード整備も着実に進められている
が、今年発表された新想定でタワーや広場の高さが不十分という事で、再整備を
迫られている。
 ソフト面では、矢守克也教授(京都大学防災研究所巨大災害研究センター)
などの研究者と興津地域ぐるみ防災委員会や興津小学校が協力して、「タイムト
ライアル」という一人一人にあった個別の避難訓練を行っている。また興津小学校
の生徒たちは、ハザードマップを作るために街歩きをし、ある小学生の「この橋は
古くて、地震で落ちるかもしれないから替えた方がいい」という意見が大人を動か
し、実際に耐震性の橋に架け替えられたそうだ。今回、CODEは興津小学校の
5.6年生と交流授業をさせていただいたが、ある生徒が「チリと日本(高知)は太
平洋でつながっている!」と言った。海は国と国を隔てているのではなく、つな
がっていると感じた子どもたちの感性は、今後、防災を学ぶのにきっと役立つに
違いない。
(吉椿雅道)