アフガニスタンからの贈り物に感謝!!—46

本レポート43号で、触れたタリバン暫定政権が設置した「勧善懲悪省」について、一体どのような仕事をする省庁なのか、少し深堀りして見たい。きっかけは先日来、朝日新聞で特集している「混迷の十字路 タリバン支配下の暮らし」という記事に触れたことによる。

同紙の記事によると、同省は「タリバンが求めるルールが守られているか、監視して取り締まる部署」と解説がしてあった。講談社発行の『タリバン』によれば、そもそもその前身は1996年~2001年の旧タリバン政権時代にあった「宗教警察」にある。同著によれば、

―1996年12月に「カブールで発表された宗教警察総本部の布告」というものが出されており、それには「誘惑および女性の顔などの露出を禁止、音楽の禁止、あごひげ剃りの禁止、ハトを飼い小鳥をもてあそぶことを禁止、凧揚げの禁止、偶像崇拝の禁止、賭博の禁止、麻薬使用の根絶、米兵式ヘアスタイルの禁止」などなど、なんと16項目にわたって禁止項目が詳細に記されている。そしてこの禁止条項に反したら、例えば「運転手はイラン風ブルカ(アフガン風ブルカより露出度が高い)を着けた女性を車に乗せることを禁止される。これに違反した運転手は収監される。このような女性を路上で見かけた場合、女性の住居を突き止め、女性の夫を罰しなければならない。女性が刺激的で魅力的な服装をしながら、男性の近親者がつき添っていない場合、運転手はそのような女性を車に乗せてはならない」と制約を課せられている。―(『タリバン イスラム原理主義の戦士たち』アハメド・ラシッド 坂井定雄・伊藤力司訳、講談社 2000年10月20日 第一刷発行より引用)

ただ、前述の朝日新聞「混迷の十字路」によると、タリバン暫定政権後に置かれた「勧善懲悪省」は、例えば「女性の遠出を禁じている」のは、「女性が一人で出歩けるのは78㎞未満」としていて、同省担当幹部曰く、その理由は「女性に一人で3日以上歩かせてはならない、という教えがあります。女性が3日間で歩ける距離が78㎞くらいなのです」というように、以前より細かく制約をかけているように思われる。

女性に対して、こうした厳しい弾圧をかけている中で、「テレビ局の報道番組で顔を布で覆わずに出演を続け降板させられた女性司会者ロマ・アディルさん(28)が5日夜に復帰した。(中略)再び顔を出したままニュースを伝えたアディルさんは『タリバンと闘い続ける』と語っている」(毎日新聞、2022・6・7より)

昨年の8月の政変を機に、国外退避をせざるをえなくなったSさんの場合は、奥さんと3才の子どもをアフガニスタンから呼ぶことができない。その理由の一つに、「勧善懲悪省」の制約の中の、「女性が単独で遠出ができない」があるからだ。その国の宗教文化(イスラムのシャーリア法に依る)を尊重しなければならないけれど、あまりにも理解しがたいルールのように思うが・・・?
(CODE事務局:アフガニスタン担当 村井雅清) 

●昨年の8月15日以来、CODEが支援してきたぶどうの生産地などの状況が全く伝わらないので、これまでご案内していた「ぶどう畑の様子はこちらから」とそのURLは省略します。現地からの情報が入り次第、都度ご報告しますのでご容赦下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)