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アフガニスタンからの贈り物に感謝!!—42

4月5日の神戸新聞夕刊に「タリバン収入源の麻薬禁止」という見出しの記事が、カブール共同の配信で流されていました。記事によると、「暫定政権のハナフィ副首相は別の作物栽培などに置き換えるための協力を国際社会に求め『世界が安全に過ごせるようにする』と語った」と。

CODEが2003年からアフガニスタン支援のプロジェクトとして、昨年8月15日タリバン暫定政権樹立まで続けて来たぶどう農家の再生支援については、これまで何度も伝えてきました。2007年から2009年までの3年間はJICAの「草の根技術協力事業」に採択され、日本で有機栽培によるぶどう栽培の方策を学んできました。1年目は、兵庫県の佐用町での研修でしたが、研修プログラムの中に“大豆”製品の加工についての見学をしました。実はその目的というのは、アフガニスタンでのアヘンの原料になるケシの栽培を、大豆に変えられないかと思ったからなのです。

佐用町では“餅大豆”というのが特産でもあり、「もち大豆味噌」を生産しています。豆腐作りも見学と実習をされました。もち大豆は、国産でわずか0.01%の希少種だそうで、ぶどう栽培についても有機によるぶどう栽培を学んだ山梨県牧丘の農家・澤登さんからの教えは、「品種にまさる技術なし」でした。このことを思い出したのは、もしかすれば、大豆も「品種にまさる技術なし」で、もち大豆のような希少種が産まれれば、より大豆栽培に力をいれるのも、あながち筋違いでもないのでは・・・・・と思いました。ケシ栽培の土壌ではいろいろな作物の栽培が可能でしょうが、大豆は間違いなく、ケシ栽培の土壌でも育つと、CODEの賛同者である農家さんは言われました。

ところで、同記事には「国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、アフガンは2020年には世界に流通するアヘンの85%を生産。麻薬流入はロシアや欧州の脅威となっている」とありました。

このUNODCのスウェーデン事務所の出先機関としてアフガにスタンに支所を置いていたのですが、その支所で働いていたのが、CODEのプロジェクトのカウンターパートの一人だったのです。彼と一度こんな話をしました。「日本も、米・英に加担してアフガニスタンへの攻撃に参戦してきたようなものだ。つまり、私は加害者の国の一人だ」と言ったときに、彼は「いやいや、私たちもケシというアヘンの原料を栽培し、世界中にばらまいているようなものだ。これを止めなければダメだ!」と返ってきました。彼は、その言葉とおりUNDOCの職員として働いていたことを知るのは、残念ながら彼が亡くなってからのことでした。私が彼と出会ったのはインド・グジャラート地震のあとでした。その後、アフガニスタンで再開したCODEのぶどう農家再生プロジェクトのサポートもして頂いていました。今、彼が生きていたなら、この麻薬禁止というタリバン暫定政権の発表をどのように受け止めたことでしょう。あの時、佐用町で初体験したもち大豆仕様の味噌や豆腐づくりのことを思い出してくれたでしょうか・・・・・?
(CODE事務局:アフガニスタン 担当 村井雅清)